飲酒とアルツハイマー病の意外な関係 「死亡リスク」を3年間追跡調査

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   毎日ワイン2~3杯くらいの適度な飲酒が、アルツハイマー病の初期にある患者の死亡リスクを下げるという、酒好きにはうれしい研究報告をデンマーク・コペンハーゲン大学のチームがまとめ、2015年12月、英の医療雑誌「ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル」に発表した。

   適度な飲酒が、心筋梗塞や脳卒中などの心血管疾患の発症や死亡リスクを下げるという研究は多いが、アルツハイマー病のような脳神経疾患では、むしろ記憶障害が進んで有害とされ、アルコールを控えるよう推奨されるのが一般的だ。たとえば、約7000人を調査した研究では、1日にグラス2杯半以上のアルコールを摂取すると、6年以内に記憶の消失が加速するというデータがある。

ほどほどに飲む人の強みは、交遊関係が広いこと

   そこで、研究チームは、初期のアルツハイマー病患者321人を対象に、飲酒が心血管疾患による死亡率を下げるかどうかを検証した。対象者は、すべてアルツハイマー病専門病院の患者で、臨床研究に同意した参加者。心理カウンセラーのサポートのもとで3年間の追跡調査が行なわれた。

   対象者の8%が飲酒せず、4%が1日にワインで3杯分以上飲酒し、17%が2~3杯分、残りの大半が1杯以下だった。追跡期間中に53人(16.5%)が死亡した。調査の結果、1日2~3杯飲んでいた人は、1杯以下の人に比べて死亡リスクは77%低かった。飲酒しない人と3杯以上の人は、1杯以下の人とほとんど差がなかった。

   この結果について研究チームでは、「アルコールとアルツハイマー病の関係を解明するには、もっと研究が必要だ。たとえば飲酒量が少ない人の死亡率が高かったのは、死期が迫っていて飲めなかった可能性もある。適度の飲酒量の人のリスクが一番低かったのは、交遊関係が広くて豊かなコミュニケーションを周りの人々としていたことが大きい」と語っている。

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