新国立競技場の建設計画で公表されたB案が「スピリチュアルすぎる」として、インターネット上で驚きが広がっている。
技術提案書の中には「結界」「縄文的な力強い祝祭の場」と、呪術的ともいえそうな言葉が散りばめられているためだ。
古市憲寿「スピリチュアルすぎて驚いている」
日本スポーツ振興センター(JSC)は2015年12月14日、外観イメージやコンセプトなどをまとめた2案の技術提案書を公表した。
B案といえば、東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長が「肩入れ」するような発言をしたことで話題になったばかりだが、ネット上では森氏の発言と関係のない部分で注目が集まっている。
きっかけは情報番組のコメンテーターとしてもおなじみの社会学者、古市憲寿さんのツイートだった。16日、B案提案書の一部画像とともに「新国立競技場の提案書がスピリチュアルすぎて驚いている」と投稿し、
「『宇宙を構成する諸要素』によって『縄文的な力強い祝祭の場』『結界』を生み出すらしい」
とつづった。
古市さんが画像で示したのは、建設計画の審査項目の一つである「日本らしさに配慮した計画」の部分。冒頭で説明されているのは、明治神宮の思想・歴史だ。
明治神宮は、伝統思想にもとづく「新しい聖地」を東京の中に創ろうとしたもの。「深い森におおわれた内苑の自然」と「外に向けて力の噴出する外苑」の二重構造が一体となり、人間にとって大切な価値を守る「結界」をなしているという。
その上で、新国立競技場は、神宮の歴史を継承した「新しい伝統」として創出されるものと位置付けられている。
「帝都物語かよ...」「陰陽師を呼ばないと」
B案ではこの他にも、
「純木製の列柱に囲まれたスタジアムは縄文的な力強い祝祭の場を生みます」
「宇宙を構成する諸要素とも言うべき、地、水、木、火、天空などによって構成されるスタジアムは、アスリートの根源的な力を引き出し、観客を興奮の坩堝へと誘います」
と、まさに「スピリチュアル」と評するにふさわしい説明が連なっている。
対するA案の、
「日本の伝統的な木構造を現代の技術で甦らせ、世界に向けて発信」
「日本建築の特徴を活かし、気候・風土や景観と調和したスタジアムを創出」
といった記述と比べると、より際立つかもしれない。
古市さんの発言を機に、ネット上では
「とりあえず、陰陽師を呼ばないと」
「これは伝奇好きの血が騒ぐ」
「帝都物語(編注:荒俣宏さんの小説)かよ...」
「アスリートのバトルエナジーを生贄にして、何を召喚するの?」
と、盛り上がりをみせている。
ただ一方では、
「建築の文脈で民俗学要素のコンセプトみたいのが出てくるのはフツー」
「すべてではないけど建築家の説明や文章にはよく見かけるタイプ」
「建築家って芸術家だからねぇ」
と、建築分野から見れば珍しいことではないという指摘も少なくない。