「日本初のプロゲーマー集団」として注目を集めるチームの代表者が、NHKから謝罪を受けたと明らかにした。
代表者は先日、NHKの番組内で意に沿わない取り上げ方をされたとツイッター上で訴え、波紋を広げていた。
「米軍がリクルート」「将来を描けるのか」とコメント
2015年12月16日に全国放送されたNHK「シブ5時」は、世界が注目する新たなスポーツとして、「eスポーツ」と呼ばれる競技を特集した。eスポーツは、複数のプレーヤーで対戦するコンピュータゲームやビデオゲームを一つのスポーツ競技として捉え、その腕を競い合うもの。海外では高額賞金のかかった大会やプロリーグも存在する。
番組前半では、日本初の「フルタイム・給与制」のゲーミングチームである「DetonatioN FocusMe」(DFM)に密着し、「ゲームをプレーすること」を仕事にする所属選手たちの生活や活躍ぶりを紹介した。
ところが放送後、ネット上では「プロゲーマー取材企画がただのゲーム批判になっていた」「『軍事利用』『将来性なし』など偏向報道に」といった指摘が相次ぎ、物議を醸すこととなった。
番組後半では、米軍がeスポーツを得意とする若者をリクルートしているという話や、コメンテーターによる「将来を描けるのかが心配」との発言があったためだ。
ネット上の指摘について、DFMを運営する「DetonatioN」代表の梅崎伸幸さんは番組終了後に、ツイッターで「本当にこのような放映のされ方なのであれば協力した側としては遺憾です」と反応。NHKに真意を確認していると報告し、その後、NHK側から謝罪があったことを明らかにした。
梅崎さんは17日、J-CASTニュースの取材に応じ、もともとはNHKから「プロゲーマーとして活躍する若者達の親御さん世代に、彼らが新しい分野でパイオニアとして日々活躍している姿を見てもらい、理解や認識を改めてもらうことが主旨」との説明を受けていたと語った。
NHK「意識誘導するような形になってしまった」
その上で「前半は素晴らしい内容で取り上げてもらっていた」としつつ、ネットで話題になった「米軍」と「将来性」の部分で「ゲーマーのネガティブキャンペーンとなってしまった」と指摘した。
17日にはNHK側とあらためて話し合いを行い、番組プロデューサーから直接謝罪を受けたという。
米軍関連の話は「プロゲーマー=軍、戦争」を連想させ、ネット上では「軍人養成」との誤認にもつながっていた。これについては「番組の構成上、あとにアメリカ(軍)の事例を出してしまい、故意でないにしろ意識誘導するような形になってしまった」との説明があったという。
また、コメンテーターの「将来を描けるのか」との発言については「時間の関係上、手短なコメントとなり誤解させる発言になってしまった」との回答で、「コメンテーターとしてはプロゲーマーが引退したあとの受け皿を作っていくことが今後必要だと伝えたかった」とも説明を受けたそうだ。
NHK側としても、もともとの主旨と異なる形で受け取られたことは本意ではないとして、梅崎さんには「名誉挽回する為にも、もう一度プロゲーマーに密着したドキュメンタリーテイストの番組製作を近々させて欲しい」と話したという。
今回の件についてNHK広報部は「取材にかかわることでありますので、こちらからコメントすることはございません。取材先とは常に誠実に対応させていただいております」とJ-CASTニュースにコメントした。
eスポーツの世界は急成長を続けている。世界では1億円プレーヤーも存在し、日本でも生活に必要な額を上回るお金を稼ぐ選手も多くなってきた。スターやアイドル的扱いを受ける選手も少なくない。
梅崎さんは
「当チームとしては、プロゲーマーが世界で認められ憧れの存在になっているように、日本でも彼らをたくさんの人に認められる文化を築いていけるように全力で取り組んでいきたいと思います」
と展望を語った。