弁護士の事務所がホームページで載せた「強姦事件」解決までの漫画がネット上で物議を醸し、事務所側が謝罪して削除する騒ぎになった。被害届を取り下げてもらうという弁護活動のあり方も論議になっている。
「やばい...どうしよう...」。この漫画は、強姦事件を起こしたという自覚がある男性が、公園のベンチでこう頭を抱えるシーンから始まる。
主人公が被害届取り下げを喜び、「久々に一杯やるか!」
掲載したのは、全国各地に支部があるアトム法律事務所(本社・東京都千代田区)だ。「漫画でわかる!強姦事件解決までの流れ」というタイトルで、漫画は4ページにわたっていた。
そこでは、男性は、警察の取り調べを受け、「目撃者がいる」と指摘された。逮捕されて前科持ちになったら、仕事はクビになり、家庭は崩壊し、新聞やネットに載って人生が終わってしまうと男性は思い悩む。
男性がビルの屋上から飛び降り自殺を考えていると、弁護士が登場して男性を制止する。そして、弁護士は、正しく対応すれば事件の半分以上が不起訴になり前科がつかないとして、「被害者の方と示談をして被害届を取り下げてもらいましょう!」と呼びかける。強姦は親告罪のため、被害届が取り下げられれば、起訴できないことになっている。
弁護士が手を尽くした結果、被害者との示談が成立して不起訴になり、弁護士は「次からは気をつけてくださいね」と男性を励ます。男性は、誰にも事件のことがバレず、仕事も順調だとして、「よおし! 今晩は久々に一杯やるか!」と微笑み、漫画が締めくくられている。
この漫画は、2015年12月16日ごろからツイッターなどで取り上げられ、疑問や批判が相次ぐ炎上状態になった。
特に、男性がバレなかったことを喜ぶ最後の2コマに批判が集まっており、「加害者が一切反省してない」「こいつ絶対に再犯するわ」「感覚麻痺してんのかね、この事務所」と次々に書き込まれている。