2016年夏に行われる参院選の候補者選びが本格化してきた。選挙のたびに「タレント候補」の擁立が話題になるが、そのひとりとして「待望論」が急浮上しているのが日本の女子サッカー界を引っ張ってきた澤穂希選手(37)だ。安倍政権が掲げる「1億総活躍」「女性活躍」にマッチしそうだ、というのがその理由だ。
澤選手は2015年12月16日に今季限りで引退することを発表したばかり。後進を育てる指導者に転進したり、16年夏のリオデジャネイロ五輪で解説者を務めたりする可能性が高そうだが、早くもスポーツ紙や夕刊紙が「待望論」を報じている。参院選候補者をめぐっては、すでに複数の著名人の名前が取りざたされているが、澤選手の話が現実味を帯びるとすれば、選挙戦の大きな台風の眼になりそうだ。
会見では「普及とか、子どもたちに夢を与えられるような仕事ができれば」
澤選手は12月17日夕方の会見で、引退後のプランについて
「今後はサッカーはもちろん、日本のスポーツ界、世界でも活躍できるような、澤穂希にしかできない仕事をやっていけたらいい」
「今後、日本女子サッカーの底辺を広げるためにも、普及とか、子どもたちに夢を与えられるような仕事ができれば」
などと、ほぼ一般論を述べるにとどめた。16年1月に理事の改選を迎える日本サッカー協会では、澤選手を新理事として有望視する声もあるようだ。この点については、澤選手は
「まだ直接お話をいただいていないので、今後何か自分でできることがあるのであれば、そこは考えていけたらいい」
と含みを持たせた。
だが、スポーツ紙や夕刊紙では、早くも政界進出説が取りざたされている。日刊スポーツは12月17日の紙面で、自民党内で待望論が出ているとして、
「高い知名度を持つため、比例代表の『目玉候補』での擁立が有力視される」
と報じた。澤選手が
「キャプテンとしてリーダーシップも備え、安倍政権が掲げる『1億総活躍』『女性活躍』を体現できる立場」
にあることも、期待が高まっている背景にあるようだ。同日夕方の夕刊フジも
「『知名度の高い逸材だけに来夏の参院選で比例代表の目玉候補として擁立しようという動きが出てくる』(関係者)。中でも女性活躍を推進する自民党内に出馬待望論が出ているようだ」
と報じている。
国民栄誉賞受賞の高橋尚子さんは2010年に出馬要請断る
仮に澤選手が出馬するとなれば、国民栄誉賞受賞者では初めて。2000年に同賞を受賞したシドニー五輪女子マラソン金メダリストの高橋尚子さん(43)にも、10年の参院選など複数の選挙で、複数の政党から出馬要請があったが、いずれも断ってきたという経緯がある。
同じシドニー五輪女子柔道金メダリストの谷亮子さん(40)は民主党の小沢一郎氏の要請で出馬し、初当選。今は「生活の党と山本太郎となかまたち」の副代表を務めており、16年夏の参院選で初めての改選を迎える。
参院選をめぐっては、すでに複数のタレント候補擁立が取りざたされている。週刊現代の12月26日号では、衆参のダブル選になることを前提に
「衆参全選挙区の当落を○×で予測」
と題した特集を掲載。参院東京選挙区(定数6)にタレントの菊川玲さん(37)が自民党から出馬するとし、「優勢」だと予測している。
東京都の教育委員を「一身上の都合」で12月10日付で退任した乙武洋匡さん(39)は、12月17日午前、ひとり親家庭に対する児童扶養手当の増額を要望するために首相官邸を訪問し、菅義偉官房長官と面会した。この直後の記者会見では
「来年の参院選に関して、乙武さんには色々な党から声がかかっているとのことだが、今日はそういった選挙の話は出たのか」
という質問も出たが、菅氏は
「私はまったく承知していない」
と否定していた。