自分の彼女が痴漢被害に遭ったとして、千葉県立高校1年の男子生徒が加害者とする男性の顔の画像をツイッターに投稿して、物議を醸している。
「痴漢されて 交番 わずった」。きっかけは、同じ高校1年の女子生徒が2015年12月5日、交番内の画像を付けて、こうツイートしたことだった。
「被害者」の友人たちが「拡散希望」
「わずった」とは、交番に行ったという意味で使っているらしい。1時間くらい交番にいたといい、詳細については明かしていないが、痴漢被害の状況を警察に説明していたようだ。
そして、その日のうちに、女子生徒と交際中という前出の男子生徒が、次のようにツイートして、痴漢したとする男性の顔が分かる画像をアップした。
「こいつ探してます 見つけたらLINEかDMください 彼女が痴漢されました こいつに気をつけてください」
JR常磐線の電車内で痴漢されたといい、その電車内で撮影したとみられる写真の画像だった。ややふっくらした若い男性で、グーの形をした左手を吊り革の握りの中に入れ、イヤホンにつないだスマホらしきものを右手で操作している。しかし、これだけでは痴漢かどうかは分からないものだ。
男性を探しているとしたため、この男性はその場で取り押さえられず、警察に引き渡されることもなかったらしい。
男子生徒のツイートを受けて、他の高校の友人たちも次々に反応した。趣旨に賛同して、「友達がこいつに痴漢されました 大切な友達なんで許せない」「まじこいつ指名手配な。この人見つけたら教えてください 許しません」とつぶやき、「拡散希望」として男性の画像付きでリツイートしている。
ところが、14日になって、2ちゃんねるでこれらのツイートが紹介され、「証拠無しw」「両手塞がってるぞ...」「これって私刑にならないの?」と批判や疑問の声が次々に上がった。
教頭は「男性の顔を晒す行為があったなら問題」
こうした声を受けてか、その後、男子生徒らのツイートは削除されたり、アカウントが非公開設定になったりした。
男子生徒と女子生徒が通う県立高校では、教頭が取材に応じ、「2人は痴漢被害について警察に申し出たものの、『現行犯でないと対応できない』と取り合ってもらえなかったと聞いています」と説明した。ツイートについては、生徒指導部長から12月15日に報告を受けたという。
2人については、17日に話を聞く予定で、事実関係などについてはまだよく分からないとした。
なお、女子生徒は当時、「まぢ怖かったかんな」「手の震えがとまらんかったゎ」とツイートしており、男性を取り押さえられる状況ではなかったらしい。とはいえ、ネット上では、「撮ってないで捕まえてもらえよ」「その時叫べよ」といった指摘も出ていた。
男子生徒が、男性の顔を晒したことについては、教頭は、「もしそうだとしたら、問題だと思います。名誉棄損にもなりかねませんので、厳重に指導したいと考えています」と話している。
ツイッターなどでは、これまでも痴漢被害者だという人や友人らが加害者だとする人の顔を晒す行為が度々起きている。法曹関係者からは、こうした行為は、場合によっては、プライバシー権の侵害で損害賠償の対象になったり、名誉毀損罪で刑事罰を負ったりすると警告されていた。