末は大統領か総理大臣か。政治家の夢は最高権力者になることだが、その引き換えに死期を早めてしまうという、いかにも政治の世界らしい非情な研究結果が、2015年12月、英医学誌「ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル」のクリスマス号で発表された。
研究をまとめたのは、米ハーバード大学医学部のアヌバム・ジェナ准教授らのチーム。
ライバルより平均2.7年寿命が短い結果に
1722年から2015年までの西側17か国で国民の投票によって選ばれた国の最高権力者279人(大統領や首相など)の没年齢と、その人物と権力の座を争ったライバル政治家261人の没年齢を比較した。ライバルの政治家は、たとえばドイツや日本のように議会で首相に選ぶ場合は、次点にとどまった者が対象となり、フランスや米国のように国民の直接投票で大統領を選ぶ場合は、対立政党の中で最大野党の候補が対象となった。
その結果、国のトップの寿命は、敗れた候補者よりも平均で2.7年短いことがわかった。研究チームでは「権力の座のストレスが命をすり減らしたとみられます」とコメントしている。