「恐怖」の条件反射が痛み物質を分泌する
10年前に椎間板ヘルニアで2度手術した男性Sさん(53歳)が登場した。Sさんはヘルニアの除去に成功したが、腰痛が再発、3度目の手術を勧められ、松平医師のもとを訪れた。松平医師は理学療法士と相談し、手術なしの簡単な方法でSさんの腰痛を治した。その方法が「タオル体操」だ。やり方はこうだ。
(1)長いタオルを縦に折って、腰に巻きつける。
(2)布団の上にうつぶせに寝る。
(3)タオルの両端を手で押さえつけて、腰を布団に固定させる。
(4)その姿勢で背中を反らして10秒間キープする。
Sさん「前の医師から『反らしてはいけない』と言われたので、驚きましたが、これをやっていくうちに腰が軽くなり、楽になりました」
Sさんが松平医師を訪れた時の映像と、その1か月後の映像がある。1か月前は猫背でこわごわと歩いている。ところが1か月後には軽々と走っている!
アグネス「ええ~、すごい! 何が起こったのですか?」
松平医師「『恐怖回避思考』という、痛みをかばう気持ちを取り除いたのです。Sさんに、画像上は全く異常がないのに痛みがあるのはなぜか? 痛みの原因は恐怖回避思考による悪循環にあるのです。過去に激痛の経験ある→再発の不安→コルセットで体を動かさない生活→腰回りの筋肉の硬直化→血流の悪化→脳から痛み物質が分泌→腰痛が慢性化、という悪循環です。そこで、痛みの恐怖をやわらげて体を動かすこと勧めました」