歩く速さでアルツハイマー病のリスクがわかる? 仏で研究発表

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   認知症の5割以上を占めるアルツハイマー病は、治療や予防が難しいとされているが、高齢者が歩くスピードで発症するリスクがわかるかもしれない。フランスの研究施設「トゥールーズ神経疾患センター」のナタリー・デル・カンポ医師らのチームが、アルツハイマー病の関連物質と歩く速度との関係をまとめ、2015年12月2日発行の米神経学会誌「ニューロジー」に論文を発表した。

   アルツハイマー病の原因はまだわかっていないが、脳の中にアミロイドβ(ベータ)というタンパク質が増えると、老人斑と呼ばれるシミができ、周辺の脳神経組織が萎縮して発症するという説がある。これまでの研究では、健康な人で歩く速度が遅くなると、数年後にはアルツハイマー病になりやすいことが知られていたが、その仕組みはわかっていなかった。

速さの遅い人ほどアミロイドβが多くなる

   カンポ医師らは、認知症になる危険性が高いと診断されている高齢者128人(平均年齢76歳)の脳内アミロイドβの状態を脳検査(PET)で測り、歩く速度との関連を調べた。128人の歩く速度の平均は時速3.8キロだった。分析の結果、速さの遅い人ほどアミロイドβが多くなることがわかった。特に、運動能力に関わる脳の領域に多かった。

   カンポ医師は「アミロイドβが増えると歩く速さが遅くなるのか、速さが遅くなるような生活がアミロイドβを増やしているのかは不明ですが、両者が関係あることがわかりました」と語っている。

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