朝日新聞社が、国内最大の指定暴力団「山口組」に関する書籍の紙面広告掲載を直前になって拒否していたことが分かった。
出版社によると、「山口組が抗争中という状況のため掲載は難しい」と代理店を通して説明があったという。ただ、朝日新聞はこれまでほかの新聞社同様、抗争をめぐる記事は書いている。こうした矛盾に同書の著者からは疑問の声が上がっている。
「山口組が抗争中という状況のため」と説明
広告掲載が拒否されたのは宝島社から2015年12月4日に刊行された「山口組 分裂抗争の全内幕」(盛力健児、西岡研介、鈴木智彦、伊藤博敏、夏原武さんによる共著)だ。山口組が新年の基本方針を示す「事始め式」を行う12月13日付の朝日新聞で掲載する予定だった。
しかし、宝島社によると12月11日、朝日新聞社から広告掲載を拒否すると連絡があった。その理由は、
「反社会的勢力に関しては慎重に判断している中、山口組が抗争中という状況のため掲載は難しい」
というもので、代理店を通して口頭の説明だったという。
11月下旬から書名を伝えた上で相談をしていたにもかかわらず、掲載直前になって突然、話をひっくり返された格好だ。同社は「予定していた重要なプロモーションの機会を突如失うことになりました」として、掲載拒否の理由も明確でないことから、朝日新聞側に書面で回答を求めている。
著者の1人「はぁ?なんじゃこりゃ?」
掲載拒否については、同書の編集担当者が12月12日にツイッターで報告していた。これを受け、著者の1人である西岡さんはツイッターで「はぁ?なんじゃこりゃ?朝日新聞」「久しぶりにドタマにきたわ」と怒りをあらわに投稿。さらに、
「<まだ抗争中だから>って......じゃあ、朝日新聞さんは今回の『山口組分裂騒動』も<まだ抗争中だから>という理由でこれまでも報じてないわけね。また今後も一切報じないわけね」
と皮肉った。
もちろん、朝日新聞はこれまで何度も分裂騒動をめぐる記事を紙面に掲載している。警察発表だけではなく、捜査関係者や元暴力団幹部の証言も記事になっている。
同紙は広告掲載を拒否した理由に矛盾は感じないのだろうか。掲載拒否の事実も含め、J-CASTニュースの取材に、
「広告掲載の依頼の有無等は、取引に関わることですので公表していません」
と回答した。