総額1兆8000億円の建設費が課題
これまで日本の新幹線の技術が海外に輸出されたのは2007年開業の台湾高速鉄道があるが、その後は、海外の高速鉄道の受注をめぐる国際競争が激しさを増しており、なかなか売り込みに成功していない。
日中が競ったインドネシアでは、事実上の建設費の肩代わりまで提示したとされる中国に競り負けたばかり。今回のテキサス高速鉄道事業は、民間資金での開業を目指して日本の新幹線導入を前提に事業が進んでいるため、政府による競争入札もなく、中国などライバル勢との価格競争に至っていない。
開業さえすれば、新幹線の「ショーケースにもなる」(JOIN)可能性が高く、新興国を中心に高速鉄道の導入を検討している他国にも安全性や正確性なども含めた総合的な性能の高さを示すことができると期待されている。
ただし性能の高さはコスト高にもつながり、建設費は総額150億ドル(約1兆8000億円)に達するとみられ、巨額資金をどう確保していくかが今後の最大の課題になる。そうした中でのJOINの出資は投資家に事業をアピールする側面があり、事業が順調に進めば、JR東海など関係する日本企業も出資する見通しだ。
計画通りに2022年に開業できるか、大きな注目が集まっている。