エイズ予防薬「行為前の服用」で効果増大 仏の病院が男性同性愛者を調査

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   世界的に新たな感染者が減っている中、日本の若者に新規感染者が増えているHIV(エイズウイルス)だが、性行為をする前に薬を飲むと予防効果があがるという研究がフランスで発表された。仏サン・ルイ病院のジャン=ミッシェル・モリーナ教授らのチームが、2015年12月1日付の米医学誌「NIJM」に論文を掲載した。HIVを予防する有効なワクチンはまだなく、感染の危険性の高い人への新たな治療法として期待されている。

   研究チームは、フランスとカナダの男性同性愛者400人を対象に選んだ。対象者は全員、2人以上の異なるパートナーを相手にコンドームの予防なしに性行為を6か月以上続けているものの、HIVに感染していない人たちだ。対象者を、抗エイズ薬の「テノホビル+エムトリシタビン合剤」(TDF/FTC)を性行為の前に飲むグループ199人と、薬の成分の入っていない偽薬(プラセボ)を飲むグループ201人に分けた。

相手によって薬をきちと飲まない人がいて......

   TDF/FTCは、HIV感染者に連日投与すると、症状が進むのを抑える効果はあるが、予防効果についてはわかっていなかった。TDF/FTCの服用は、性行為の前に2錠と24時間後に1錠、48時間後に1錠の合計4錠だった。2か月の1度、定期検査を受けながら9か月間服用を続けてもらった。

   その結果、プラセボを飲んでいたグループに比べて、TDF/FTCを飲んでいたグループはHIVに感染する割合が86%低かった。また、TDF/FTCを飲んでいたグループで感染したのは2人だけだが、ともにきちんと薬を飲んでいなかった可能性があるという。なお、追跡調査中に死亡した人はいなかった。

   この結果について、モリーナ教授は「TDF/FTCの性行為前の服用が、極めて高い予防効果があることが示されました。ただ、その後の被験者のアンケートを見ると、性行為の相手によってHIVに感染する危険があるかどうかを判断して、薬を飲まなかったケースもあります。予防効果を過大評価するのはまだ早いと思います」と語っている。

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