愛知県警の警察署内に盗聴器が仕掛けられていたと、日テレ系情報番組「ミヤネ屋」が暴いて話題になっている。ネット上では、ある筋の仕業ではないかとの憶測も流れている。
「犯行は5分前ですね」
「わいせつ罪?」
「傷害罪」...
盗聴電波を傍受する無線からは、こんな会話がはっきりと聞こえてくる。
無線からは「110番」「被害者」と警察用語が
2015年12月10日放送の「ミヤネ屋」では、愛知県警の北署からだとする衝撃的な音声の一部を公開した。
番組では、「盗聴バスター」という企画を行っており、11月末は名古屋市内で取材班が無線を積んだ車を走らせていた。すると、無線からは「110番」「被害者」と警察用語が流れ始め、同乗していた盗聴調査会社「ティー・アール・エス」社長の酒井賢一さんは、「捜査情報がダダ漏れですね」と指摘した。中には、個人の名前や電話番号まで特定できる音声もあった。
その内容から、刑事課の部屋に盗聴器が仕掛けられていることが分かった。100メートル先から音声が明瞭に聞こえ、200~300メートルは電波が飛んでいたという。
番組側から通報を受けた県警では、内部調査を行い、その結果、延長コードにつながれたプラグ型の電源タップ内から盗聴器が見つかった。これを受けて、県警は、県内各署で一斉点検を始めたと報じられている。
ミヤネ屋の番組では、刑事課には、容疑者や被害者、参考人らも出入りするため、外部犯行が考えられるとした。ただ、不審がられずに電源タップを差し込むのは難しいため、内部犯行の可能性も強く、さらに、元大阪地検検事の亀井正貴弁護士は、「外部と内部の方が話し合った可能性もあります」と話した。
盗聴行為については、傍受した情報を漏らす電波法違反のほか、建造物侵入、業務妨害、電気を盗んだ窃盗といった複数の罪に問われる可能性があると亀井弁護士は言う。
暴力団絡みではとの指摘が相次ぐ
各メディアもこの盗聴器問題を報じ、捜査情報を得ようとした、県警内部の派閥争いで使われた、上司の評価が気になる部下が仕掛けた、といった可能性が指摘されていた。
ネット上でも、様々な憶測が流れているが、特に多かったのは、暴力団絡みではないかとの指摘だ。それは、愛知県警では過去に、警察と暴力団との癒着が報じられたことがあったからだ。
毎日新聞の13年6月30日付記事によると、県警の捜査員を脅迫した暴力団関係者の刑事裁判で、この捜査員が「警察に内通者がいると確信した」と爆弾証言をした。暴力団関係者が「10日くらい前(家族を守るための)保護願を(県警に)出したでしょ」と、県警幹部数人しか知らない情報を持ち出して脅してきたからだという。
裁判では、別の元捜査員が検察側証人として出廷し、暴力団の資金源とみられる風俗店に摘発情報を教える代わりに、現金などを受け取るようになったことを認めてもいた。
こうした警察と暴力団の癒着が盗聴器問題につながったのではないかというわけだが、もちろんまったく根拠はなく、憶測に過ぎない。
とはいえ、県警が今ごろになって一斉点検をしていることについては、「こんな電波もチェックしてないのかよ」「定期的に調べとけよ」と、ネット上で批判が相次いでいる。