シャープの宝「IGZO」が海外流出の危機 鴻海、それに韓国のサムスンが虎視眈々

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   経営再建中のシャープの虎の子、「IGZO」技術を有する液晶事業が揺れている。

   同社の液晶事業をめぐっては、ジャパンディスプレイ(JDI)が政府系ファンドの産業革新機構の資金提供を受けて子会社化する案が有力視されているなか、台湾の鴻海精密工業や韓国のサムスン電子への売却もささやかれている。

  • シャープ「IGZO」海外流出の危機、液晶事業の行方は・・・
    シャープ「IGZO」海外流出の危機、液晶事業の行方は・・・
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市場悪化、商品開発の遅れ・・・「複合的な要因です」

   シャープにとって、液晶技術は「世界の亀山」に代表される、いわば「虎の子」の技術。なかでも「IGZO」はその「切り札」といえる存在だ。

   そもそも、「IGZO」は同社が世界で初めて量産化に成功した透明な酸化物半導体のこと。In(インジウム)、Ga(ガリウム)、Zn(亜鉛)、O(酸素)で構成した、緻密で独自性のある結晶構造によって、高い安定性と大画面でも画像が美しく、消費電力が少ないのが強みだ。そんな「IGZO」の技術に、海外流出の懸念が広がっている。

   シャープは、液晶事業の分社化や売却について、「複数の企業と協議している段階であり、現時点で決定した事実はありません」と、明確な答えを避けている。しかし、「IGZO」技術を手放さなければならない事態に陥っていることは間違いない。

   シャープの2015年4~9月期決算によると、営業利益は215億円の赤字に転落(前年同期は292億円の営業黒字)。通期(16年3月期)の営業利益でも、従来の800億円から100億円に下方修正した。その足を引っ張っているのが、屋台骨のはずの液晶事業。同事業の売上高は通期で、前年比4.1%減の8700億円を予測する。

   液晶事業の不振について、同社は「複合的な要因です」という。

   2013年度には中国の通信機器大手、小米科技(シャオミ)や中興通訊(ZTE)がIGZO技術を搭載したスマートフォンを採用するなど好調だったが、14年以降の中国市場の減速と米アップルのiPhoneによるシェア拡大など、メーカー競争の激化とそれによる販売価格の値下がり、数量減による工場の稼働率低下もあって成長が大きく鈍化した。「インセルタイプのパネルの開発が遅れた」(シャープ)こともある。

   当初の計画の見込みが大きく外れたうえ、新たに必要な開発費用が自社では捻出しづらくなっているようだ。

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