丸川環境相「簡単には認めるわけにいかない」
日本国内でも石炭火発をめぐる政策は揺れている。丸川環境相が11月に千葉県と秋田県の石炭火発の建設計画について、環境影響評価(アセス)法に基づいて「是認できない」との意見書を林幹雄経済産業相に出した。
政府は2030年度のあるべき電源構成(ベストミックス)で石炭を26%程度と決めているが、来年からの電力小売りの完全自由化に向け、価格が安く安定している石炭火発の計画が目白押しだ。経済産業省は火力発電に占める石炭の比率を上限5割に抑え、発電効率の高い設備のみ新設を認め、老朽設備の廃止や稼働休止を進める方針だが、環境省は温暖化防止のため一段の石炭抑制を主張する。
環境省の試算によると、ベストミックスに従った2030年度の石炭火発による発電量は2810億キロワット時、これによるCO2排出量は2.3億トンで、2013年度の2850億キロワット時、2.7億トンから発電量を圧縮してCO2を減らさなければならないことになっている。しかし、現在の石炭火発の計画は全国で34か所あり、全て稼働すれば30年度のCO2排出量は2.74億トンになる――。当然、「石炭火発を簡単には認めるわけにいかない」というのが環境省の姿勢だ。
石炭火発計画で現在、環境アセス手続きにかかっているのは11件。これまで環境省は、アセスの調査前の時点で、いずれも厳しい意見を述べている。早いものは2016年にも国として建設にゴーサインを出すか否かの最終判断を迫られる見通しで、日本の温暖化への取り組み姿勢が問われることになる。