日本ハムの大谷翔平が2015年12月4日、年俸2億円で契約を更改した。今シーズンの年俸は1億円だったから、2016年は100%アップとなった。
年俸は今後も上がり続けるだろうが、5年後は大リーグと超大型契約を結ぶことが確実な選手に育ってきた。
160キロの剛速球に米スカウト「ただ者じゃない」
「これだけ評価してもらってありがたい」
今季は15勝5敗、防御率2.24で最多勝、防御率、勝率の3タイトルを獲得した。1勝1300万円で来年の年俸を稼いだことになる。
「来年はまたゼロからのスタートと考え、慎重に目標を定めていきたい」
落ち着いた話し言葉にエースの自覚がうかがえる。
この秋の世界野球WBSCプレミア12では、侍ジャパンの主力として圧巻のピッチングを披露した。160キロの剛速球を投げ、大リーグのスカウトを驚かせた。
「ただ者じゃないね」
「今のままでもメジャーで通用する」
こんな声が相次いだ。なかには、日米協定に違反しても連れて帰りたい、という感嘆の感想もあった。
プロ野球のエースにのし上がった大谷の注目は、大リーグにいくとき、となった。プロ入りのとき、大リーグ挑戦との狭間で迷ったことは周知の事実で、それが実現するときは、松坂大輔や田中将大の騒ぎをしのぐことだろう。
故障と事件・事故が最大の敵
野茂英雄以来、大リーグで日本の投手が通用することは現実となった。今年もマリナーズの岩隈久志が野茂に次ぐノーヒットノーランを達成した。その実績を持って来年はドジャースに行く。年俸4500万ドル(約55億円)の高額契約を手にした。
大谷はあと数年し、故障さえなければ海外FA権を取得する。そのとき、どんな契約になるのだろうか。
これまでの日本投手の高額契約を振り返ってみよう。
▽松坂大輔(西武-レッドソックス)=6年、5200万ドル(約60億円)
▽ダルビッシュ有(日本ハム-レンジャース)=6年、5600万ドル+出来高(総額約6000万ドル、約72億円)
▽田中将大(楽天-ヤンキース)=7年、1億5500万ドル(約190億円)
ちなみに野茂は、1年目が日本円で980万円だったが、2年目は3年、430万㌦で契約した。黒田博樹(広島-ドジャース)は3年、3500万ドルだった。
松坂、ダルビッシュ、田中と比べ、大谷が今シーズンのような投球を保った場合、間違いなく田中を上回って5年、2億ドル(約240億円)はいく。
大谷は来年以降、故障が最大の敵となる。専属のトレーナーをつけることになるだろう。さらに事故や事件に巻き込まれないことにも格段の注意が必要になる。日常生活が大きく変わることは間違いない。
(敬称略 スポーツジャーナリスト・菅谷 齊)