高橋洋一の霞ヶ関ウォッチ
消費増税は延期すべきだ 新聞の「手のひら返し」ありうる

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選挙対策上からも「延期」やりやすい

   一つには、民主党の枝野幹事長が、軽減税率の導入について「明確に民主、自民、公明の3党合意が破棄されたと言わざるを得ない」と述べ、消費増税に反対する意向なのだ。

   3党合意をよく読めば、軽減税率の導入がそれに反しているとはいえない。政治合意文章は、融通無碍に書いてあるからだ。にもかかわらず、枝野幹事長がそういう主張をするのは、消費増税で先手を打ちたいからだ。軽減税率での自公間協議の中、消費増税延期で来16年7月に衆参ダブル選挙という噂が流れた。昨14年の総選挙で、民主党の海江田代表(当時)は当初消費増税賛成といったが、慌てて取り消して、ぶれまくり、結局惨敗したトラウマがあるのだろう。

   GDP統計の改定で、2期連続マイナス成長は免れたものの、消費低迷によってGDPがさえないのは事実だ。しかも、補正予算は3兆円余で力不足だ。こうした状態だと、これまで消費増税を主張していた新聞も今後ゆっくりと意見を変えていくだろう。

   そう考えると、今回の軽減税率の政治決着は絶妙だ。まず新聞を対象としないので、新聞が、消費増税延期に世論を向けやすい。またかなりの減収になるので、財政当局から見ても「消費増税延期でもやむなし」になりやすい。さらに、野党からの消費増税延期発言を引き出し、選挙対策上からも消費増税延期をやりやすい。

   こうした点を踏まえると、今回の軽減税率の政治決着から、2017年4月からの消費増税はかなり可能性がなくなったことが見えてくる。


++ 高橋洋一プロフィール
高橋洋一(たかはし よういち) 元内閣参事官、現「政策工房」会長
1955年生まれ。80年に大蔵省に入省、2006年からは内閣参事官も務めた。07年、いわゆる「埋蔵金」を指摘し注目された。08年に退官。10年から嘉悦大学教授。著書に「さらば財務省!」、「恐慌は日本の大チャンス」(いずれも講談社)、「世界のニュースがわかる!図解 地政学入門」(あさ出版)など。


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