「へえ~っくしょん!」と、ダイナミックにくしゃみをしているお父さん、どれだけ周囲に汚染物質をまき散らして迷惑をかけているかわかりますか? 数分のうちにくしゃみの「雲」が部屋中に広がるという研究を米マサチューセッツ工科大学のリディア・ブローバ博士のチームがまとめて、2015年11月の米国物理学会年次集会で報告した。
ブローバ博士は、「くしゃみの力学」の研究者として知られ、2014年4月、超高速度カメラを使って、くしゃみの飛沫が従来考えられていたより、最大で200倍遠くの1キロ先まで飛ぶことを突きとめている。
今回は、その延長で飛沫の「雲」がどう広がるかを、数日間に約50回のくしゃみをした2人の映像を分析して調べた。その結果、くしゃみの小滴が雲状に広がり、2、3分以内に部屋の面積を覆い、天井の換気ダストまで届いた。
さらに、小滴がどのように「推進力」を得て遠くまで広がるかのメカニズムを解明した。それによると、小滴は最初から形になっているわけではなく、肺を出て唇を通過して空中に混ざる複雑な連鎖の過程で、水滴が崩壊して霧状の雲になり、勢いよく広がった。
ブローバ博士は「くしゃみの力学をさらに解明すれば、インフルエンザの大流行を予防につながります」と語っている。