沖縄県の米軍普天間飛行場跡地に東京ディズニーリゾート関連施設を誘致するため、宜野湾市の佐喜真淳市長が菅義偉官房長官に支援を要請した。
「ディズニーが沖縄に」――。報道を受け、ネット上ではさっそく盛り上がりをみせている。現状ではホテル施設がメーンとなる可能性が濃厚だが、テーマパーク建設の可能性はあるのだろうか。
菅氏「ホテルをはじめとする関連施設だと思っている」
佐喜真市長は2015年12月8日、首相官邸を訪れ、普天間飛行場返還後の地域振興に向けた要望書を菅氏に手渡した。東京ディズニーリゾート誘致の実現を目指す旨が記され、菅氏はこれに「非常に夢のある話。政府として誘致が実現できるよう全力で取り組みたい」と述べたという。
「ディズニー誘致」と聞いてすぐに頭に浮かぶのは東京ディズニーランド(TDL)、東京ディズニーシー(TDS)のようなテーマパークだろう。ネット上でも新たなテーマパークができると受け取った人が少なくなかったようで、賛否双方の立場からさまざまな意見が上がっている。
だが菅氏は、具体的な誘致内容について「ホテルをはじめとするディズニーの関連施設だと思っている」と同日の記者会見で述べている。多くのメディアも「ホテル型リゾート施設」「リゾートホテルなど」と報じており、テーマパーク誘致に言及していたのは、主要メディアでは読売新聞だけだった。
同市秘書広報課によると、
「要望書では、ホテルを建設すべき地域になっている『インダストリアル・コリドー地区』にディズニーリゾートを誘致したいと書かれているだけで、具体的な想定は市長にしか分からない」
とのことだったが、同地区の活用予定からも菅氏の発言等からも単にホテル施設の誘致である可能性が高そうだ。2011年にはディズニー初の、テーマパークを併設しないホテルがハワイ・オアフ島にオープンしたという前例もある。
USJ施設とのバッティング懸念も
もし仮に、市長がテーマパーク誘致を考えているとすれば――。
誘致先とされたインダストリアル・コリドー地区は、米軍キャンプ瑞慶覧にある区域。国道58号に面する好立地で、空港からのアクセスは悪くない。
ただ、総面積62ヘクタールの大部分は北谷町域であり、沖縄タイムス(8日配信)によれば宜野湾市域は約28ヘクタールにとどまる。TDLとTDSの面積はどちらも約50ヘクタール。宜野湾市域だけで建設するとすれば、かなりコンパクトなテーマパークになるだろう。
同じ沖縄では、すでにユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)の運営会社が「南国」をテーマにした新テーマパーク建設計画を進めており、ネット上では同施設とのバッティングが起きるとの指摘も目立つ。
ほかに、台風の多さや夏の暑さを懸念する声も少なくない。パーク建設の可能性がないことはないが、ディズニーにとってはあまり「おいしい」話ではなさそうだ。
そもそも現状では、誘致自体の実現可能性すら不透明だ。この件についてオリエンタルランドは9日、「今後慎重に検討を行っていくものであり、現時点で対応方針など決定している事実は一切ありません」とのコメントを発表している。