「困った時はコレを食え」といわれるブロッコリーは、「最強の野菜」だ。200種以上の「フィトケミカル」を含み、若返り効果はナンバーワン。フィトケミカルとは、植物だけが持つ健康を維持する力のある化学物質。植物は太陽の紫外線にさらされ、害虫や感染症にも襲われるため、身を守る抗酸化・抗菌物質をたくさん持っている。その植物パワーが野菜の中でいちばん凝縮しているのがブロッコリーなのだ。
ブロッコリーの中でも、最近、ブームになっているのが新芽のブロッコリースプラウト。カイワレ大根に似た形状で、スーパーで見かけた人も多いだろう。スプラウトとは新芽野菜の総称で、モヤシやカイワレ大根がそれにあたる。新芽はひ弱で栄養素がなさそうに見えるが、実は、植物は種にいちばん栄養素がある。新芽はこれから伸びていくために「親」よりも栄養素が豊かなのだ。
新芽にバツグンの肝機能向上と胃がん防止効果
ブロッコリースプラウトには「スルフォラファン」というフィトケミカルが、「親」よりも20倍以上含まれている。抗酸化力が強く、血糖値を下げて血液の流れをよくする働きがあるので、動脈硬化や糖尿病などの生活習慣病を予防する効果がある。ほかにも次のような健康効果が明らかになっている。
(1)肝機能の向上。肝臓は有害物質の解毒を行う臓器だが、スルフォラファンには体内の解毒酵素を活性化させる働きがある。
(2)ピロリ菌を抑えて胃がん予防も。ピロリ菌は胃酸の中でも繁殖して胃や小腸に炎症を引き起こし、胃潰瘍や胃がんの原因となる。スルフォラファンには強い抗菌作用があり、ピロリ菌の繁殖を抑える働きがある。
(3)抗酸化作用が長い。多くの抗酸化物質は食べてから数時間~1日前後で作用が薄れるが、スルフォラファンの作用は3日間持続する。つまり、3日に1回食べればオッケーなのだ。
(4)自閉症の行動改善。米ハーバード大の研究グループが自閉症の男性29人にスルフォラファンを18週間摂取させたところ、社会行動や言葉のコミュニケーションに改善が見られた。摂取をやめると元に戻った。
(5)花粉症の改善。花粉症は体内に「イムノグロブリンE」(IgE)という抗体が多くなると発症する。スルフォラファンにはIgEの発生を抑制する働きがあり、花粉症の治療薬に役立つのでは、と研究が進められている。
以上は、自閉症以外はまだマウスでの研究段階だが、スルフォラファンは、現在発見されている約1500種類のフィトケミカルの中で最も期待度が高いものの1つなのだ。