健康診断の結果が戻ってくるたびに「運動不足」と指摘されて「ハァーッ」とため息。すっかり丸々とした腹をさすりながら「体、動かさなきゃ」とつぶやくものの、なかなか実行に移せない働き盛り世代。
悲観するのはまだ早い。オフィスワークが主体の会社員でも、日々の過ごし方と工夫次第で意外とカロリーは消費できるのだ。
ランニング1時間分のカロリーを消費
調査会社「クロス・マーケティング」(東京都新宿区)が2015年8月3日に発表した「ビジネスパーソンの運動に対する意識・実態調査」によると、首都圏1都3県在住の1200人のうち、ビジネスシーンで運動を取り入れようと意識している割合は23.2%とおよそ4人に1人だった。
通勤時(行き帰り)に意識して取り組んでいることは「駅のホームでは、エスカレーター・エレベーターではなく、階段を使う」が46.4%で最も多く、「通勤時には早歩きで歩くことを心掛けている」が34.7%で続く。勤務中に意識して取り組んでいることでは、「ちょっとした段差であれば、エスカレーター・エレベーターではなく、階段を使う」が53.8%でトップ、2位は「早歩きで歩くことを心掛けている」が33.9%だった。
調査では、ビジネスシーンにおける平均消費カロリー量を568.8キロカロリーと算出。その内訳は、徒歩移動が20.3分、電車移動(立ち)が19.5分、階段移動5.7分、メールチェック・作成40.8分、パソコンでの資料作成113分、会議・打ち合わせ(社内外)50.1分、電話21.6分、昼食36.2分となっている。このカロリー数値は、体重65キロの人が1時間ランニングした量に相当する
調査結果から、「ビジネスシーンを活発にすることによって健康の維持・増進が可能」と分析された。例えば、徒歩移動の時間を増やすために通勤の往復時に最寄り駅の1つ先まで歩く、電車に乗ったら常に立つ、エスカレーターやエレベーターは一切使わない、といった工夫は今日からでも実践できるだろう。
「食後に1回15分のウォーキングを1日3回」が効果大
健康増進のために有効とされるウォーキングも、工夫次第でさらに効果をアップできる。かつてこうした有酸素運動は、1日30分は続けないと意味がないと言われていた。
メディカルトリビューン紙が運営するウェブサイト「あなたの健康百科」に、北里研究所病院糖尿病センターの山田悟医師が有酸素運動について寄稿し、2013年12月6日付で掲載された。山田医師は、米ジョージ・ワシントン大学の研究グループが、食後に1回15分のウォーキングを1日3回行うと、1日45分のウォーキングを1日1回するよりも血糖改善作用に優れることを示唆するデータを発表した点に触れている。
山田医師はこれを受けて、「30分以上連続させた方がよいどころか、細切れで毎食後に分散させて運動をした方が血糖管理には有利なことが示唆された」と述べ、「『30分連続させてもいいし、させなくてもいい、まずは運動をやることが重要だ』ということ」と続けた。
一気に30分も歩き続けるとなると、平日これだけまとまった時間をとって毎日続けるのは強い意志がないと簡単には習慣化できないだろう。だが、通勤時やランチタイムに各10分程度のウォーキングと分散させれば、忙しいビジネスパーソンにとっても可能なはずだ。