「しっかりしていると思ったら、やっぱり長女か」「甘えん坊なのは、末っ子だから仕方ないね」――こんなことを言われたことはないだろうか。生まれた順番が性格に影響することは万国共通と思われてきたが、実は科学的根拠が全くないという研究をドイツのライプチヒ大学のチームがまとめて、米科学アカデミー紀要「PNAS」の2015年10月19日号に発表した。
研究チームは、生まれた順番と性格との関係を検証するために、米国人5240人、英国人4489人、ドイツ人1万456人の計2万185人を対象に、大規模な性格テストと知能(IQ)テストを行った。性格評価は、心理学のビッグファイブ理論が示す代表的な5つの性格「外向性」「情緒安定性」「協調性」「勤勉性」「開放性」の度合いを測って調査した。
わずかだが、長男長女の知能が高かったのはなぜ?
その結果、生まれた順番と性格特性の間にはまったく関連がなく、何のパターンも見いだせなかった。同じ長男長女、末っ子でも性格は千差万別だったのだ。ただ、ほんの少しの数値だが、長男長女は二番目以降の弟妹よりもIQが高い傾向を示した。
この結果について、研究チームリーダーの大学院生ジュリア・ロヘラーさんは、
「長男長女の知能がわずかながらも高い数値を示したのは、生まれた順番というより、家族内の立場によるものでしょう。長男長女は弟妹に比べると、両親から手をかけて育てられる傾向があります。教育にもっとも熱が入るために知能が高くなる可能性があります。また、弟妹の家庭教師のような役割を担い、勉強をみてあげることもあるでしょう」
と語った。