「わたし、何歳ぐらいに見える?」。女性はいくつになっても若く見られたいものだが、女性の顔を3D(3次元)映像でスキャンすると、実年齢よりいくつくらい若く見えるかだけでなく、血液検査などよりも正確に体の健康年齢までわかることを中国の研究者が突きとめて、国際生化学誌「セル・リサーチ」の2015年3月31日号に発表した。
研究をまとめたのは、上海生命科学研究院のチーム。3Dスキャンによる顔認識で、実年齢(何歳か)と体年齢(何歳ぐらいの健康状態か)の差を調べるのが目的だ。体年齢の算出のために、3Dスキャンして、肌のなめらかさや口と鼻の間の距離など、年齢とともに変化する顔の作りを読み取る基準をつくり、それをもとに体年齢を割り出す数式を編み出した。
血液検査よりも正確に「健康状態」が顔に
チームは、17~77歳の332人の中国系女性を対象に3Dスキャンした顔の画像データをとった。また、同時に血液検査をして、コレステロールや尿酸、タンパク質などの数値を測り、健康状態をチェックした。
その結果、40歳までは実年齢が同じ人の「顔年齢」の間に最大で6歳の開きがあったが、40歳を超えると顔年齢の差はもっと広がった。さらに「顔スキャン」で読み取った結果と血液検査を比較すると、顔の特徴から割り出した「体年齢」の方が精度は高かったという。つまり、顔の3Dスキャンだけでも通常の身体検査より正確な体の健康状態がわかったというのだ。
今回の結果について、欧米の専門家の見方は2つに分かれている。米の老化科学の専門家は「最新の老化科学でも年齢より若く見える人は老化が遅いことがわかっています。血液検査なしでも顔面の解析と問診から健康状態を測る先端技術は、生命保険の分野で活用されるでしょうか」と評価する。
一方、米の顔面形成外科の専門家は「今回の研究では、比較するための対照群を設けていないので、体の老化が実年齢より速い人や遅い人がいるかどうかはわかりません」と懐疑的だ。