改造した漁船で日本海を渡って密入国を企てるのは北朝鮮の工作員だけではなかった。窃盗団を韓国から日本に密航させたとして、韓国・釜山の警察が密航組織の韓国人3人を逮捕した。
現地の報道によると、密航に使われていたのは改造漁船。通常は1つしか着いていないエンジンを3つに増強し、高速旅客船よりも高速で移動できるようになっていた。韓国メディアは「命をかけた疾走」などと、その異様さを報じている。
密航者1人あたり160万~210万円を受け取る
聯合ニュースや釜山日報によると、釜山警察庁の国際犯罪捜査隊は2015年11月30日、密航取締法違反の疑いで密航組織の男性メンバー(55)ら3人を逮捕した。これに加えてブローカーの女(54)や密航を企てたが未遂に終わった女(42)を書類送検し、密航者の男(54)ら8人を指名手配した。
密航組織の3人は密航希望者8人から1人あたり1500万~2000万ウォン(約160万~210万円)を受け取り、3月30日午後、韓国南部の慶尚南道(キョンナムド)・統営(トンヨン)の防波堤で改造漁船に乗せて、日本の佐賀県に密入国させた疑いが持たれている。8人のうち7人は日本でスリをしたなどとして逮捕され、日本での裁判が進行中で、1人は韓国に潜伏しているとされる。
密航者は10年ほど前にも日本に不法滞在した上に窃盗を行ったとして国外追放処分を受け、再入国ができなくなったため密航を選んだという。
そのうちひとりについては
「2006年に日本で凶器や催涙スプレーを使って窃盗行為を行い、現地(=日本、編集部注)メディアに報道されるなど、物議をかもした人物」
だと報じられている。06年には「釜山グループ」と呼ばれる武装スリ団がJR西日暮里駅で催涙スプレーの噴射事件を起こしている。今回指名手配された8人も、この「釜山グループ」と関係している可能性がある。
これ以外にも、密航組織のメンバーは15年4月、日本に不法滞在していた人(52)を対馬で漁船に乗せ、統営まで送り届けた疑いが持たれている。