経営再建中のシャープが2015年から16年の年末年始にかけ、全従業員に自社製品の購入を呼びかけるシャープ製品愛用運動を始めた。液晶事業の不振などで厳しい経営が続くなか、売り上げを少しでも増やす狙いがありそうだ。
期間は15年11月20日~16年1月29日までで、専用サイトでテレビなどを販売する。家電担当の長谷川祥典専務執行役員名で社内に「難局を乗り切れるよう協力してほしい」と呼びかけた。取締役や執行役員は20万円、管理職は10万円、一般社員は5万円の購入目標も設定されており、購入額の2%が還元される。
専用サイトで一般社員5万円の目標が
こうした取り組みは、これまでも経営危機に陥った旧三洋電機が実施したことがあるが、珍しい。今回のシャープのニュースは読売新聞が11月18日付で報じて明るみに出たが、シャープはこの記事の中で購入目標額を「ノルマ」と表現されたことに対し、「強制ではない」と否定し、目標を達成しなくてもペナルティはないとしている。しかし、社員の新たな負担になるのは間違いなく、社内からは「ノルマ以外のなにものでもない」と反発する声も出ている。
シャープは主力の液晶事業が低迷し、2015年4~9月期の連結最終損益が836億円の赤字に転落し、通期予想についても従来の営業利益800億円を100億円に下方修正している。給与や賞与のカットや早期退職などを実施し、立て直しのために合理化を進めている。
ただ、仮にシャープ単体の国内従業員1万7436人(9月末)全員が5万円ずつ購入しても約8億円余り。役員や管理職の分を入れても、連結売上高2兆7000億円からみたら微々たる額ではある。
ネットでは「さすが、目の付けどころがシャープ」
このニュースを受けたネット上の反響は大きく、ツイッターなどでは「自社製品を買いたいとは思えないんだな」「シャープも終わりが近い」「さすが、目の付けどころがシャープ」「見かけの売り上げを伸ばすのが狙い」「中古屋とかヤフオクに流れてくるな」「これって違法じゃないの」などと批判的なコメントが並んだ。
一方で「どこでもやっていること」「メーカーに勤めて他社製品を購入する社員がいたらおかしい」「いやならやめればいい」とシャープのやり方は当然だとする意見もある。
約26万人のフォロワーがいるシャープの公式ツイッターは、ネット上のコメントを意識してか、「弊社社員が、自社製品を日常的に愛用していないような印象を持つ方もいらっしゃいますけど、決してそんなことはありません」
「弊社の製品は、それをつくる社員が敬遠するようなモノではありません」とツイート。そのうえで「この年末、もし家電をご入用の際は、弊社製品も候補に入れていただけますとうれしいです」とちゃっかりPRしている。
しかし、会社寄りと受け取られるツイートだけに終始することなく、最後には
「(とはいえ私だって思うことはある...超ある)」
と心情を吐露し、この件についてのツイートを結んでいる。