総務省は2015年11月、17年4月からの自動車購入時の新たな課税方式の原案をまとめた。税率を燃費に応じて6段階に分け、購入価格の0~3%とする新税を創設するというものだ。消費税率の10%引き上げと同時に見直す自動車関係税制の中核になるものだ。
環境性能の高い自動車の税負担を軽くしようという狙いだが、燃費の悪い車は逆に負担が重くなるわけで、全体として販売の減少を懸念する自動車業界や経済産業省は反発しており、12月の16年度税制改正大綱決定に向け、調整は難航も予想される。
2017年4月の消費税増税と同時に導入予定
現在、消費者が自動車を買うとき、購入額の最高3%の自動車取得税と、車両の重量に応じた自動車重量税が課税される。このうち自動車取得税は、併せて課税される消費税との「二重課税」と批判する自動車業界が、その廃止を悲願としてきた。2015年10月の消費税10%への引き上げとともに廃止されることになっていたが、消費税率のアップが先送りになったため、取得税の廃止も先送りされていた。
自動車にはこのほか、保有している限り毎年納める普通車の自動車税、軽自動車の軽自動車税があり、また、重量税は車検の時にもかかる。このうち、重量税だけが国税で、他の税は地方税で総務省が所管している。
今回の総務省案は、取得税廃止の一方、自動車税と軽自動車税を拡充するとしたこの間の政府方針に沿ったもので、15年度税制改正大綱が具体的な税率や対象車種について「16年度以降の税制改正において結論を得る」としているのを受けてまとめた。
電気自動車は税率ゼロ、燃費悪いと最高3%
毎年払う自動車税と軽自動車税に、購入時の課税を新設するというもので、新設の税率は、国土交通省が環境に配慮した燃費の目標値として定めた「2020年度燃費基準」の達成度に応じて決める。購入価格に対する税率は、電気自動車や燃料電池車、「燃費基準」を25%以上上回るガソリン車は0%と設定。そこから燃費が悪くなるほど、0.6%、1.2%、1.8%、2.4%、3.0%と税率が高くなる。取得税の廃止で1000億円程度減る地方税収を、これで補う考えだ。もちろん、環境性能の高い自動車の税負担を軽くし、普及を後押しするという目的もある。
ただ、自動車業界は販売の減少を懸念し、課税対象をなるべく絞るよう求めている。日本自動車工業会や経済産業省は、タクシーや運送業などの営業車と軽自動車については、税率の上限を2%にするように求めている。
ただ、調整は難航しそうで、12月中旬の税制改正大綱決定まで時間がないこともあり、自動車業界には、具体策づくりの先送りを求める声が出てきた。自動車新税の成算は見通せない状況だ。