オウム真理教元信者で、殺人未遂ほう助の罪に問われていた菊地直子被告に2015年11月27日、東京高裁で無罪判決が下った。判決については、メディアによって捉え方が違うとネットで話題になっている。
「この無罪というのは、世間にショックを与えたというか、なんとなくざわつくというか......」――速報で伝えた27日の「情報ライブ ミヤネ屋」(読売テレビ)で、しきりに首を傾げて見せたのが司会の宮根誠司さんだ。
「薬品を運んだことも、十二分にテロ行為の一部」
「オウム真理教ってのは、まさに国家転覆を狙っていたわけですから。そういうことも末端の人たちは全く知らなくて、ヨガ教室の延長だと思っていたんでしょうか」
放送中、宮根さんは、教団の危険性を当人は本当に認識していなかったのか、という疑問を繰り返した。オウム問題に詳しい紀藤正樹弁護士から電話出演で解説を受けても、なかなか腑に落ちない様子だ。「(一連のオウム事件では)亡くなられた方もたくさんいる。いまだに後遺症で苦しんでいる方がたくさんいる中で、この無罪判決というのは衝撃は大きいですよね」と、言葉を選びつつも判決に疑問を投げかける。
コメンテーターの手嶋隆一さん(外交ジャーナリスト)も、テロ抑止の観点から、「裁判所のそういう法技術的な問題だけですべてを判断してもいいのだろうか」という議論が起こるのではないか、との見方を示し、宮根さんに同調した。
同時間帯の「直撃LIVE グッディ!」(フジテレビ系)でも、無罪判決に対して、疑問のトーンが濃かった。司会の安藤優子さんは、17年間の逃亡という経緯から、「やっぱりなかなか一般普通の感情からいうと、そっちの方が『不合理』なんじゃないの?という気がしなくはないんですよね」と述べた。さらに、「薬品を運んだことも、十二分にテロ行為の一部なわけなんですからね」とも指摘した。
翌28日の朝刊でも、毎日新聞などで、一審に参加した裁判員からの不満の声が大きく扱われている。産経新聞は、一面で「裁判員裁判の根底揺るがす」との見出しを打った。