脳への衝撃は接触プレーのせいとの声も
もともとヘディングについては、「脳に悪い」という研究が数多く発表されている。2011年11月、米アインシュタイン医学校がアマチュア選手37人を対象に年間の試合中のヘディング回数が脳に与える影響を調べた。脳の断層検査と集中力、記憶力のテストを行い比較した。選手のヘディング回数は少ない人が32回、多い人が5400回にのぼった。その結果、ヘディング回数が年に約1000~1500回に達すると、明らかに脳の画像で脳神経組織に損傷がみられた。1800回以上を超えると記憶力が急激に低下した。
2014年4月に米ボストン大学が発表したヘディングの衝撃力の研究では、「正しい姿勢がとれない子どもの場合、頭部に40~50Gの力がかかる」という結果が出た。これはアマチュアボクサーのパンチ力に相当する。一方、「ヘディング擁護」の研究もある。2015年8月、米コロラド大学は過去9年間にわたって全米の高校生が試合や練習中に脳震盪を起こしたケースを調査した。すると、原因の大部分は選手同士が激しくぶつかる接触プレーで、ヘディングが原因だったケースは男子で約30%、女子で約25%だった。