下馬評では「サプライズはない」と言われていた「第66回NHK紅白歌合戦」出演者の最大のサプライズは、黒柳徹子さん(82)の総合司会への起用だった。「大幅減」が指摘されていた演歌歌手の数もトータルでは横ばい。逆に、安定した人気を誇る「ももクロ」こと「ももいろクローバーZ」らの落選が際だった。
例年、司会者は出場者に先だって発表されるが、2015年の紅白では11月26日の会見で両者が同時に発表された。また、会見は日中に行われるのが慣例だが、今回は20時にスタートし、21時のニュース番組では司会者が会見場から生中継。写真撮影を含めると2時間以上続いた。内容よりも、形式の方が「サプライズ」が多い会見だった。
黒柳さん映像に報道陣から驚きの声
紅組、白組の司会は「新聞辞令」どおり綾瀬はるかさん(30)と井ノ原快彦さん(39)が担当。有働由美子アナウンサー(46)が総合司会を務めるところまでは「想定内」だったが、会見場のモニターに黒柳さんが映し出されると、報道陣からは驚きの声も上がった。
柴崎哲也チーフプロデューサー(CP)によると、黒柳さんに司会を打診したのは11月に入ってから。起用理由を
「今年は戦後70周年だったり、もうすく震災5年だったり、いろんな節目の年の紅白になる。そのときに、テレビ、紅白を象徴する方は誰かと考えたら、やっぱり大先輩の黒柳さん。テレビ界を象徴するレジェンドだと思っている」
などと説明した。司会発表がずれこみ、出演者と同時発表になった理由も
「黒柳さんを含めて。司会の方を皆様にきちんとした形で発表させていただくスケジュールを探っていたところ、こういうタイミングになった」
と説明した。
NMB残り、乃木坂は初出場 SKE、HKTは落選
NHKによると、紅白の出場者は「今年の活躍」「世論の支持」「番組の企画・演出」の3つを基準に選ばれる。15年の紅白には、AKB48の「公式ライバル」として知られる「乃木坂46」ら初出場10組を含む51組が出場する。乃木坂は14年秋には「出場内定」をスポーツ紙が報じたが、直後に週刊文春がメンバーのスキャンダルを報じたことが影響したのか、出場を逃していた。15年に1年越しの出場を果たした理由を、柴崎氏は
「(乃木坂にとって)やっぱり実績という意味で、非常に活躍した年」
だと説明。AKB48グループでは、AKB48と大阪を拠点にするNMB48は引き続き出場するが、名古屋のSKE48と福岡のHKT48は涙を飲んだ。この点については、
「活動の実績、私たちの調査による世論の支持、演出、企画に沿う出演者という3つの要素を総合的に判断して決定した」
などとあくまで一般論が繰り返された。
落選危機の細川たかし、和田アキ子は......
「ももクロ」以外にも、ここ数年は安定した人気を誇ってきた、きゃりーぱみゅぱみゅさん(22)、水樹奈々さん(35)、18回出場した香西かおりさん(52)らも落選。「出演を打診したが断られたのか、そもそも打診しなかったのか」について、NHKは「個別の交渉ごと」だとして明らかにしなかったが、「ももクロ」は公式ブログで
「紅白歌合戦を卒業します」
とつづっている。
一方で、「落選危機」が指摘されていた細川たかしさん(65)や和田アキ子さん(65)は、それぞれ39回目の出場を決めた。小林幸子さん(61)も「特別企画」枠で4年ぶりの出場が決まった。
20時に会見が始まり、出演者の写真撮影の途中でNHKのニュース番組「ニュースウオッチ9」の中継が入るのも異例だ。柴崎氏は
「皆さんのスケジュールを合わせるということで、こうなってしまった。遅くなってしまって本当に申し訳ない」
と述べ、「自局中継ありき」のスケジュール設定、との見方を否定した。