早い・安い・まあまあウマい――で、つい利用してしまうファストフード。「カロリーを考えると、レストランにしておけばよかった」と後悔したアナタ。レストランの方が肥満や高血圧のリスクが高いという研究成果が、ファストフード大国の米国で発表された。
2015年7月、国際臨床栄養学誌「EJCN」にイリノイ大学のレオペン・アン助教授のチームが報告した。
コレステロールより塩分が怖いレストラン
研究チームは、2003~2010年にわたる全米健康保険調査のデータから約1万8100人の成人男女を選び、24時間以内にとった食事内容を具体的に記述してもらった。そして、家庭料理か、外食か、外食なら店の形態、食べた料理のコレステロール値や栄養などを分析した。
その結果、3人に1人弱がファストフードで、4~5人に1人がフルサービスのレストランで食事をしていた。栄養の分析では、ビタミン類や亜鉛、カリウム、オメガ3脂肪酸などについては、ファストフードや家庭料理よりレストランの方が豊富だった。しかし、コレステロールに関しては、家庭料理に比べて、レストランは1日あたり58ミリグラム余分に含まれていた。ファストフードのコレステロールの超過は10ミリグラムだった。
また、ナトリウム(塩分)の量も家庭料理に比べて、レストランは1日あたり412ミリグラム多く、ファストフードは300ミリグラム多かった。一方、血中コレステロールを上げる飽和脂肪酸や砂糖の量は、ファストフードが最悪で、繊維質やビタミン類、マグネシウムなどの栄養素も少なかった。
レストランの料理を家で作れば健康的
この結果についてアン助教授はこうコメントしている。
「コレステロールの超過もよくないですが、塩分が多いのがレストランの問題点です。米政府が健康の目安にしている塩分摂取量をかなり超えていて、肥満や高血圧、心臓病のリスクを高めています。レストランで注文した料理を家で作ると、量が抑えられて健康的です。レストランは社交的イベントになり、費やす時間が長くなって食べすぎてしまうのです。塩分に関してはファストフードより警戒する必要がありますが、結局は家庭料理がベストです」
研究は米国のレストランを対象としたもので、日本の事情とは単純に比較はできないが、興味深い結果とは言えるだろう。