中古マンション変調、在庫が急増 都心6区で「7000万円」目前、高すぎる!

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   東京都心の中古マンションの在庫が急増している。

   不動産調査会社の東京カンテイによると、東京23区の中古マンションの在庫数は2015年10月に1万827戸にのぼり、前年同月比33.6%と増加した。2013年3月以来、2年7か月ぶりの高水準にある。

  • 中古マンションの在庫が急増している!(写真はイメージ)
    中古マンションの在庫が急増している!(写真はイメージ)
  • 中古マンションの在庫が急増している!(写真はイメージ)

「不動産ミニバブル」のときにそっくり

   2015年10月の中古マンション在庫数(10月中に売れた物件を含む)は、東京23区で1万827戸にのぼり、前年同月と比べて33.6%、前月と比べても9.8%と急増した。東京カンテイが11月24日に明らかにした。とくに都心6区(千代田、中央、港、新宿、渋谷、文京)で大きく増えており、在庫全体の4分の1を占めた。

   同社・上席主任研究員の井出武氏は、「前年(14年)同月はマーケットが好調でした。出せば売れるような状況で、物件の滞留が少なかった」と指摘。中古マンション市場が反転した可能性があるとみている。

   在庫が急増した要因について、井出氏は「販売価格が上がりすぎました」と話す。なかでも東京23区の中古マンションの価格は、不動産ミニバブルが起った2007年の水準を上回っており、10月の在庫状況は「ミニバブルが崩れた当時とそっくり」という。いつ買い控えが起こっても不思議ではないようだ。

   加えて、10月には横浜市の大型マンションの「杭打ち問題」が明らかになったことが、消費者の購入意欲に水を刺したのかもしれない。

   たしかに、中古マンションの販売価格は右肩上がりが続いている。東京カンテイが同日発表した10月の首都圏(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)の中古マンションの売却希望価格(70平方メートル換算)は、14か月連続で上昇して3197万円となった。上昇率は1.2%。前年同月に比べて12.3%、前月比で1.2%値上がりした。

   都心部の伸びが顕著で、東京23区では4978万円と前年同月比で17%も上昇。さらに、都心6区では前月比0.7%高い6969万円と、7000万円の大台を視野に入れている。

   同社は「価格の推移をみる限りでは、上昇トレンドが陰るような兆しは認められない」としている。

   ある不動産関係者は、「売り主が強気な価格を設定する傾向が続いている一方で、買い手は『行き過ぎ』と感じはじめている。さすがに7000万円という水準は、中古マンションの価格とはいえない」と話す。

   値上がり続きで、消費者の手が届きにくくなっていることは間違いないようで、当初の販売価格から値下げしたり、内覧希望者が落ち込んだりする物件が増えているとの情報もある。

都心6区の中古マンション、一部で新築時より高値も

   東京カンテイの井出武・上席主任研究員は、「東京都心ほど(販売価格の)値上がりは顕著です」と話す。すでに東京都心6区(千代田、中央、港、新宿、渋谷、文京)の中古マンションの一部は、新築時よりも高値をつけている。同社が2015年7月30日にまとめた調査によると、都心6区で2014年に売却された物件価格は、2005年の分譲時に比べて12.3%も値上がりしていた。

   都心部の物件は交通利便性が高く、投資用の賃貸物件として人気がある。安定した賃料収入が見込めるとして、2015年も上昇傾向が続いている。

   一方、都心6区以外の中古マンションは築年数の経過につれて値下がりするケースがほとんど。たとえば、東京都多摩地区で2005年に分譲された物件の価格は、14年には12.7%下落。横浜市でも2.9%下落している。

   つまり、中古マンションの価格上昇は東京都心6区にきわめて限られた現象で、最近の「不動産バブル」が広がりをみせないまま崩壊してしまう可能性が強まっているわけだ。

   2007年頃の不動産ミニバブルが崩壊したように、最近の在庫の急増が不動産バブル崩壊の「きっかけ」になるのかもしれない。

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