欧米や近隣諸国が安倍晋三首相を「歴史修正主義者」などと非難することは珍しくないが、韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領にも、米ニューヨーク・タイムズ紙が同様の批判を向けている。
社説で、歴史教科書の国定化などを念頭に「歴史を書き換え異論をつぶそうとしている」などと非難。こういった動きが「国外での韓国の評判に対する最大のリスク」とまで警告している。
強硬姿勢の背景には「父親のイメージを回復させる」狙い
社説は11月19日付で、「韓国で異論が標的に」と題して掲載された。
冒頭、韓国が独裁国から活力ある民主主義国に移行したことを称賛し、
「だから、朴槿恵大統領が、韓国と北朝鮮の傀儡(かいらい)政権とを全く違うものにしてきた民主主義的自由を後退させることに熱心に見えるのは憂慮すべきことだ」
などと警告した。具体例として、
「週末には、2つの抑圧的な政府による動きに抗議しようと、数万人が街頭に繰り出した」
と紹介した。この「2つの動き」とは、北朝鮮に融和的だとされる歴史教科書を国定化する動きと、財閥系企業が労働者を解雇しやすくするための労働法改正の動きのことを指す。
社説では、「朴氏は、ソーシャルメディアやネット上の批判や異論もコントロールしようとしている」とも指摘。これは、韓国で人気のメッセージアプリ「カカオトーク」運営会社の共同代表だった李碩祐(イ・ソクウ)氏が、わいせつ画像の流通に対して適切な対応を怠ったとして検察が在宅起訴したこと指している。韓国メディアによると、李氏は起訴を受けて共同代表を辞任し、運営会社も退社している。
社説では、起訴には政府批判への報復の側面があるとみている。
「本当の(検察の)目的は、政府の監視に抵抗したり、政府に批判的な利用者の声を制限することを拒否したことに対する処罰だ、という指摘もある」
としている。
社説では、この強硬姿勢の背景には、父親の朴正煕(パク・チョンヒ)元大統領への思いがあるとみている。朴大統領が「父親のイメージを回復させようとしている」ことが「生徒に、粉飾したバージョンの歴史を学ばせる」ことの動機になっているようだ、というのだ。