元兵庫県議、野々村竜太郎被告(49)の「初公判ドタキャン」が波紋を広げる中、インターネット上ではテレビ局に対する疑問の声も相次いでいる。
公判当日から翌日にかけ、各ワイドショーは野々村被告の公判を大きく取り上げて「号泣会見」の映像を延々と流し続けていた。
「できることなら罪状認否の段階で号泣してほしい」
野々村被告は、政務活動費約913万円をだまし取ったとして詐欺などの罪で在宅起訴され、11月24日に神戸地裁で初公判が予定されていた。ところが開廷予定の15時を過ぎても被告は現れず、公判は急きょ中止となった。
報道などによると、弁護人は「早朝に家を出ようとしたが、マスコミ関係者と鉢合わせして精神的パニックになり、家を出られる状況ではなくなった。8時半ごろ、裁判を欠席したいとのメールがあった」などと説明したという。
異例の出廷拒否にはネット上でも批判的な声が上がっているが、一方でテレビ局の取り上げ方を問題視する声も目立っている。24日から25日にかけて放送された各局のワイドショーは、2014年7月に大きな注目を集めた「号泣会見」一色だった。
野々村被告がとりわけ大きな声を上げて泣きわめく部分をピックアップしているケースが目立ち、ナレーションなしで1~2分放送する番組も複数あった。
約1時間の特集を組んでいた24日放送の「情報ライブ ミヤネ屋」(日本テレビ系)では「ウアアアア」と叫ぶシーンにユニークなフォントの字幕をつけ、何度かリフレインさせるというバラエティー番組のような演出まで取り入れていた。
コメンテーターが会見をおちょくるケースもあり、24日放送の「とくダネ!」(フジテレビ系)では、司会の小倉智昭さん(68)が、
「面白い映画も2度3度みるとつまらなくなるんですが、この人の映像だけは1年たってもまだ面白い」
「できることなら罪状認否の段階で号泣してほしい」
などと皮肉まじりにコメントしていた。
「何度も何度も流す意味ある?」
号泣映像が日本中のお茶の間をジャックするような状況について、ネット上には、
「テレビ局各位 あさから野々村竜太郎被告の泣き叫び映像が不快です」
「視聴者が欲しいのは最新映像であって昔の号泣会見の映像ではない」
「マスコミの執拗な追求、というかワイドショー的なネタ扱いは下品過ぎる」
「野々村議員の裁判バックレを報じるのにあの映像を何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も流す意味があるのだろうか」
といった意見がいくつも寄せられている。
野々村被告の政務活動費問題自体は追及されるべきものであり、当然出廷しなければならないのは確かだが、「ネタ的」な扱いに不快感を抱いた視聴者は少なくなかったようだ。
25日放送の「とくダネ!」ではコラムニストの深澤真紀さんが、
「おもしろ動画みたいに扱いすぎちゃっているのもどうなのかな。彼自身の罪はきちんとつぐなって法廷に出るべきだと思うけど、今日のブログ(編注:報道関係者に取材を控えるよう求めた内容)でもかなり混乱していることが分かるので、報道の仕方もあるのかなって」
と違和感を口にしていた。