郵便減って「手数料収入」が頼みの綱
日本郵便が郵便局で中古車売買などサービスの多様化を進めるには理由がある。日本郵政グループは、上場したゆうちょ銀行とかんぽ生命の金融2社がグループ全体の利益を支えている。もう一つの子会社である日本郵便は赤字体質を脱却できていない。電子メールの普及で郵便事業は構造的な赤字となっており、宅配便事業もヤマト運輸など強力なライバルが存在する。ゆうパックとペリカン便の経営統合も期待した効果を発揮できなかった。
一方で、日本郵便にはユニバーサルサービス(週6日、原則1日1回、全国どこでも同一料金で郵便を配達すること)が法律で義務付けられている。地方で過疎化が進む中、郵便局網の維持は経営の重荷となっている。現在はゆうちょ銀行とかんぽ生命から郵便局窓口利用の手数料収入があるが、今回の上場を機に金融2社の完全民営化が進めば、将来的には手数料収入も期待できそうにない。日本郵便としては郵便局窓口を利用して、新たなビジネスを拡大し、手数料収入を稼ぐ必要があるのだ。
ただ、郵便局でどこまで中古車が売れるかは未知数だ。過疎地ほど中高年層に中古車ニーズがあるのは事実だが、ガリバーとの業務提携が日本郵便の手数料収入拡大の「頼みの綱」になるのかどうか。
小泉政権時代、「郵政民営化で郵便局がコンビニになる」というキャッチフレーズがあった。郵便局を民営化したらコンビニのようにいろんな商品やサービスを提供できるようになり、過疎化が進む農村の生活も便利になったというイラスト付きの政策集で、2005年の郵政解散・総選挙で自民党が制作した。
あれから10年。郵便局で中古車まで扱うとは、小泉元首相も思いつかなかった?