免疫力が高く、コレステロールが頑丈な体を作る
こうした結果に「わが意を得たり!」なのが、ダイエットブームに警鐘を鳴らし続け、『その健康法では「早死」にする!」という本も出している高須克弥・高須クリニック院長。サイトの中で大いに語っている。
「日本では健康優良児は丸々と太っており、かっぷくのいいニッポン男児やぽっちゃり女子が健康の証でした。メタボリック症候群は、超肥満大国のアメリカ国民のもの。死因の1位が心筋梗塞だからメタボ対策は有効。しかし、日本人の死因の3分の1はがんです。がんは治療の過程で体力が消耗する。メタボ対策の目標体重では栄養が不足します。脂肪の制限は必要ない!蓄積した脂肪は財産!食べるという人間の本能にわずらわしい制約を加えてはならないのです!」。
ほかの専門医もサイトの中で、「小太り長命」の理由をこう説明する。(1)「やせ」に比べて免疫力が高く、感染症にかかりにくい、(2)コレステロール値が高い方が、頑丈な体に必要な細胞膜やホルモン、ビタミンDを多く作ることができる、などだ。
ここで、「ちょっと待って!」と疑問を投げかけるのが日本抗加齢医学会理事長の坪田一男・慶応大学教授だ。著書の『アンチエイジングバトル最終決着』の中でこう指摘する。「逆の結果を示した疫学研究もあるのです。スウェーデンの研究では、小太りの男性は、メタボでなくても死亡率・心血管系のイベント発生率が標準体重に比べて高くなる。この研究の優れている点は、解析期間が30年と長いこと。小太りと標準体重では、最初の10年は死亡率などに差はないが、10年を超えると差が出てくる。つまり、小太りの弊害が出てくるには時間がかかるということです」。