大阪市鶴見区で、小学校高学年ほどの男児2人組による現金窃盗事件が相次いでいる。手口は共通しており、まず「家のトイレを貸して」という口実で高齢者の住居に入り込み、居間やリビングの財布や小銭入れなどを盗んでいくというもの。
小学生に「トイレを貸して」と言われても不審に思う人が少なかったのか、すでに同区内で6件、計約13万円の被害が出ている。大阪府警鶴見署の担当者も「犯行がエスカレートしないよう、早く補導しなければ」と語っている。
授業のない土日や放課後に集中
最初の事件は2015年10月中旬ごろに起こった。男児2人組が鶴見区の70代女性宅に「トイレを貸して」と上がり込み、家の中から現金1万円を盗んだ。相手が小学生だったためか、家の中へ入れた。トイレへ入っていた時間も数分で、特に不審な点はなかったようだ。
しかし、2人組が去った後、女性は自宅から現金1万円が消えているのを見つける。警察へ通報したものの、現金が盗まれる瞬間は見ていなかった。
11月になると、同じ手口の窃盗事件が多発する。3日に80代女性宅から約3000円の入った貯金箱と現金5000円が丸ごと、4日に80代男性宅から現金9万円が盗まれ、被害総額はどんどん膨らんでいった。
10月の事件と同一犯かは不明ながら、盗んだのはいずれも男児2人組。被害が集中している時間帯も授業のない土日祝日や放課後の平日夕方だった。また、被害者の年齢は全員60代から80代で、高齢者をターゲットにしているのも明らかだった。なお、鶴見区以外での被害は確認されていない。
警察も事件把握し、注意喚起のメール流す
鶴見署も事件を把握し、「トイレを貸して、にご注意! 鶴見区内において小学校高学年くらいの男の子2人が『トイレを貸してほしい』などと言って家に上がり込み、1人が気を引かせているすきに、財布等を盗む事件が発生しています」という内容のメールを区民に送信、注意喚起していた。
同署の担当者はJ-CASTニュースの取材に対し、「小学生では刑罰に問えないため、慎重に調べています。犯行がエスカレートしないよう、早く補導しなければいけません」と複雑な心境を語った。
同じような手口の事件は2002年にも起こっていた。この年の6月中旬、名古屋市中川区の無職少年(16)と小学生男児(11)の兄弟が同区内に住む70代男性宅に「トイレを貸して」と上がり込み、居間にあった現金約5万円入りの財布を盗んだ。
当時の新聞報道によると、弟が「駅にはどう行くんですか」と道を聞いている途中に兄が「トイレを借りたい」と依頼する「連携プレー」で男性宅へ侵入。
さらに、「公衆電話を使いたいので、100円を10円に両替してほしい」などと男性に持ちかけ、財布のありかを探っていたという。愛知県警中川警察署は同年6月23日に、窃盗の疑いで兄を逮捕、弟を補導している。