「誤爆の犠牲になった人たちから見れば、有志連合による空爆もテロに当たる」。テレ朝系「報道ステーション」の古舘伊知郎キャスター(60)がこう問題提起したことが、ネット上で議論を呼んでいる。
2015年11月16日夜の番組では、パリ同時多発テロの関連映像が紹介され、その後、スタジオに切り替わると、古舘氏がこう口を開いた。
内藤正典教授も「まったくその通りなんです」
「カメラを反対側に切り替えしてみるということは、こういうことを報じるうえにおいては、非常に重要だと思う」
そして、古舘氏は、レギュラーコメンテーターの内藤正典同志社大大学院教授に対し、次のような疑問をぶつけた。
「本当にこの残忍なテロで、許すまじきテロを行った。これは、とんでもないことは当然ですけども、一方でですね、有志連合のアメリカの、ロシアの、あるいは、ヨーロッパの一部の、フランスも含まれますが、誤爆によって、無辜の民が殺される。結婚式の車列にドローンによって無人機から爆弾が投下されて、皆殺しの目に遭う。これも、反対側から見ると、テロですよね」
内藤教授は、同意する。
「まったくその通りなんです」
内藤教授は、イスラエルが14年にガザ地区を空爆したときに、国連運営の学校も攻撃するなどして、約500人の子供を含む市民1400人以上が亡くなったことに触れ、「亡くなったご遺族からすれば、これがテロでなくて何でしょうか」と指摘した。
一方、アメリカ軍が15年10月にアフガニスタンで国境なき医師団の病院を誤爆したときは、猛抗議を受けてオバマ大統領が謝罪する事態になっている。内藤教授は、このことも紹介したが、「実はそうでない、まったくそういう声を発することのできない、膨大な数の死があるんですね」と話し始めた。
「では、何もしないことが正解というのかね?」
そのうえで、内藤正典教授は、有志連合によるイスラム国への空爆についても、自らの主張を述べた。
「もちろん、テロの肯定はしませんけども、そういう犠牲になる人たちの目線から見れば、有志連合がやっていようが、ロシアがやっていようが、フランスがやろうがですね、同じくテロじゃないか」
内藤教授はさらに、シリアから膨大な数の難民が出ているのは、イスラム国が怖いことも確かにあるものの、有志連合による空爆を恐れていることの方が大きいとした。その理由としては、「一瞬にして、住む家、家族を吹き飛ばされてしまうわけですから」と述べた。イスラム国から何かの刑罰を受けるまでには時間があるものの、空爆は時間がないともいう。
また、内藤教授は、「軍事力の行使によってこのテロが根絶されるという可能性はまったくない」とも述べた。7000~9000回も行われているという空爆で難民が続々と出て、テロリストがその中に紛れ込んでしまうからだという。難民が虐げられて辛酸をなめれば、最後には敵意を向ける恐れがあるとも指摘した。
以上のような古舘伊知郎氏と内藤教授の主張については、ネット上では、「そう、逆から見りゃテロなんだな」「有志連合がやってきた事にも目を向けてほしい」と同意する意見が出た。
その一方で、「誤爆事故とテロは違うだろ」「誤爆の部分で空爆を批判するな!」「では、何もしないことが正解というのかね?」といった疑問も噴出している。