情報番組「とくダネ!」(フジテレビ系)で司会・小倉智昭さんが語った「歩きスマホをする人から罰金を取ればいい」という提言が、ネット上で賛否両論の議論を呼んでいる。
「いい事言うね」と支持する意見も多い一方、「各個人のマナーの範疇じゃないかな?」と罰金を科すまでの話ではないとの声も多い。
ただ、駅のホームから転落したり、階段につまずいて転倒したりと歩きスマホが原因の事故も各地で多発し、鉄道会社などは予防のための啓発活動に乗り出している。
「携帯を見ながら自動車を運転したら、罰金になるじゃない」
小倉さんの発言が飛び出したのは、同番組の2015年11月17日放送回。「歩きスマホでトラブル急増」をテーマに、歩きスマホが原因で起こった事故、都内で歩きスマホをする100人への街頭インタビュー、アメリカの大学で導入された「歩きスマホ専用レーン」付き階段などを特集した。
街頭インタビューのコーナーでは、歩きスマホ中の人が最も見ていた(100人中41人)のは「LINEやメールなどのコミュニケーションツール」だったとする集計結果を伝えた。
VTR中から固い表情だった小倉さんはVTR終了後、おもむろに「携帯を見ながら自動車を運転したら、罰金になるじゃない。歩きスマホも罰金にすりゃいいんじゃないの。税収不足だし。止まってやらなきゃダメというルールを作りましょう」と強い口調で提言。その後も、「何やってんの?寸暇を惜しんで」「極論かも知れないけど、(歩きスマホは)そんなにやらなきゃダメなのかなぁ」と話すなど、最後まで厳しい姿勢を崩さなかった。
この「歩きスマホに罰金を科すべき」という思い切った発言に対し、ネットの反応は分かれた。ツイッターには、
「いい事言うね」
「大いに結構だ」
といった賛同の意見も
「優先順位からしてもっと先にやることがある」
「各個人のマナーの範疇じゃないかな?」
など慎重な発言もみられる。地図アプリを見ながら目的地までの道のりを確認している人は多いようで、「ナビしながらの歩行時は少しだけ許してくれ」という声も出た。
ネットユーザーの75%が「規制派」
とはいえ、大きな流れを見ると、歩きスマホは「規制」「予防」の方向に傾きつつある。アメリカ・ニュージャージー州で2012年に「歩きスマホ規制条例」が成立、違反者に85ドルの罰金が科されるようになるなど世界各地で条例化が進み、これをうけて日本でも鉄道会社や大手携帯キャリア各社がキャンペーンを実施し始めた。
JR西日本はNTTドコモ北陸支社と協力し、13年11月に富山駅や金沢駅、福井駅など北陸地方の代表的な駅の構内に啓発ステッカーを掲出した。JR東日本も電気通信事業者協会(TCA)、その加盟社であるNTTドコモ、KDDI、ソフトバンクと15年11月、「やめましょう、歩きスマホ。」キャンペーンを共同で実施。JR東日本各駅の構内にポスターを掲出し、車内にディスプレイ広告を掲載した。その他、各キャリアは歩きスマホを防止するアプリなども公開し、予防に注力している。ただ、条例化に踏み切る自治体は未だ出てきていない。
ネット上のアンケートでも、罰則を設けて規制するべきだ、という回答が圧倒的に多い。13年4月11日から4月21日まで「Yahoo!ニュース意識調査」で実施された調査「『歩きスマホ』の規制は必要だと思う?」では、総投票数49747票のうち、75%が「必要だと思う」と答えている。