米ナイアンティック・ラボ社の人気スマートフォンゲーム「Ingress(イングレス)」をめぐり、プレーヤーが深夜の住宅街を徘徊するといった「迷惑行為」が、2015年に入りネット上で相次ぎ報告されている。
イングレスは、2チームに分かれたプレーヤーがスマホを手に街を歩き、現実世界を映しだしたバーチャルマップ上の目印を奪い合う「陣取りゲーム」。ゲーム内の世界と現実空間が結びつけられた結果、日本でも警察官が出動するなどの騒動が広がっている。
寺院に立ち入り「不審者」扱い
ゲームでは、「エンライテッド(覚醒派)」と「レジスタンス(解放派)」の2チームに分かれたプレーヤーが、運営側の設定する「ポータル」(チェックポイント)同士を線でつなぎ、チームごとに陣地を作る。両チームは、その陣地の面積を競い合う。そのためには、実際に現地を踏む必要がある。
アメリカで数年前に生まれたゲームながら、最近は日本人プレーヤーも増加。企業のキャンペーンや地方自治体の町おこしにも使われており、イベントに多くのプレーヤーが参加する。
ポータルは、寺院や名所旧跡、大きな駅など現実の歴史的・文化的施設やオブジェなどに設定される場合が多い。ポータルの40メートル以内に近づけばハック(奪取)でき、逆に相手陣営の制圧するポータルで手持ちのアイテムを使えば、奪い返せる。
そんな状況から、両陣営による一部ポータルの奪い合いが激化。以前から、様々な「迷惑行為」がネット上で報告されてきた。とりわけ多いのが、私有地や住宅地などを徘徊するプレーヤーが地元住民から不審者とみなされるケースだ。
2015年1月12日付け朝日新聞電子版は、徳島県小松島市にある寺院住職の「お参りでない人がうろうろするのは気持ち悪い」という言葉を伝えている。また15年8月には、茨城県日立市の史跡「泉ヶ森」にいたプレーヤーが、隣接する神社の関係者から「時間を問わずフラフラして不気味な人がいると、数十件の苦情が来ている」などと注意された旨をグーグルプラスで報告している。真偽を確認できないものの、いくつかの寺院ではイングレスプレーヤーの立ち入りを禁止しているようだ。