死の1年半前の前兆を書き残した司馬遼太郎さん
作家・司馬遼太郎さんは1996年2月、歯を磨いている時に突然倒れた。腹部の大動脈瘤破裂だった。享年72。医師嫌いだった司馬さんは、専門病院にかからなかったが、日記や手紙などで体の衰えを書き残しており、専門医の間で、大動脈瘤破裂の前兆と進行について知る貴重なデータとなっている。
それによると、亡くなる10か月前「去年の夏ごろ(注:亡くなる1年半前)から左の坐骨神経痛。......1週間は歩行もできずに苦しんでいた」。同8か月前「右足が重い、と感ずることが10日ほどつづき、レグウォーマーで足を暖めた」。同2か月前、周囲の人に顔色が白く見えるほど貧血が進む。同1か月前、腰痛で治療。同半月前、風呂場で貧血。同22日前から発熱......。
司馬さんの記録を分析した専門医はサイトの中で、「前兆は亡くなる1年半前からあった。坐骨神経痛や腰痛は大動脈瘤が大きくなって背骨や足にいく神経を圧迫したために起きた症状と考えられる。......医師の診断を受けていれば」と残念がる。