体重が落ちても体脂肪が増えたら、ダイエットどころか体調を崩す原因になる恐れがある――。運動不足だった36歳男性・木村清志さん(仮名、以下キヨシさん)が重い腰を上げ、体を動かす意欲がわいてきた。
多少のつまずきはあるが、常に前向きに減量に取り組むキヨシさんを見て編集部は考えた。「こうなったら、生活習慣全体の改善にまでつなげられないだろうか」。
読者に「やります」と公言したのが実行につながった
ソファーの上で「動かざること山の如し」だったキヨシさんが、週末に息子とサッカーを楽しんで、妻から「奇跡の光景」と驚かれた。そのうえ、仕事帰りに最寄り駅の1つ先まで歩いて帰った。行動に出始めたのだ。
2週続けて、日曜日に次男と公園でサッカーをしたという。平日は仕事の忙しさが増してきたが、「一緒に遊んで私も気分が晴れました。体が軽くなった気がしますし、『オレって結構動けるな』と感じました」とうれしそうだ。
編集部「自発的に体を動かすようになれたのは、なぜだと思いますか」
キヨシさん「運動しなきゃと以前から思ってはいました。実行できたのは、この連載で『やります』と宣言しているのが大きいのかと」
そう、キヨシさんは読者に対して公言したことが動機づけとなり、有言実行につながったのだ。
食生活も、随分改善されてきた。仕事は忙しいが、なるべく早く帰宅して22時までには食事を終えるように努力しているそうだ。メニューに配慮して魚料理を増やした。「朝食抜き」という長年の悪しき習慣から脱却し、パンを食べたりジュースを飲んだりするようになったのも、大きな進歩だ。ダイエット開始時は、昼食のメニューを低カロリーなものに変えるところからスタートしたが、2か月が過ぎた現在ではランチだけにとどまらず、1日の食事全体を考えるまでにダイエットへの意欲が高まっている。
体重は78.3キロとさらに下がったが、成果はこれだけではない。課題だった体脂肪率が21.0%にまで落ちたのだ。計測日によってばらつきはあるかもしれないが、24.5%まで上昇していたことを思えば大収穫だった。
「いやあ、だって眠いじゃないですか」
朝食をとる習慣を継続させるには、工夫が必要だ。キヨシさんの最近のお気に入りは「くるみパン」だが、「毎日食べると、さすがに飽きるんです」。夜遅くに高カロリーの食事をとることは避けているが、それでも朝は出勤に間に合う時間ギリギリまで寝ているため、家を出る前には空腹にならない。パンも、出社後に食べている。それ以外は、市販のフルーツジュースを飲んでいる。
編集部「息子さんたちは朝食をどうしているんですか」
キヨシさん「妻がつくって、学校に行く前にきちんと食べています」
編集部「では、キヨシさんもその時間に合わせて起きれば、一家全員で朝の食卓が囲めますよ」
キヨシさん「いやあ、だって眠いじゃないですか」
妻の手料理ならバリエーションがあるので、飽きることはないはずだ。問題は、キヨシさんがそこまでして早起きしたいというモチベーションが上がらない点。では、本人に動機づけして「早起きします」と宣言させよう――「結果にコミットする」編集部は、こうたくらんで質問した。
編集部「ところで、通勤時のウォーキングは続けられそうですか」
キヨシさん「うーん、やる気はあるのですが帰宅時はへとへとになってしまって、一刻も早く帰りたい気持ちが先に立つのでつい電車に乗ってしまうんです」
編集部「では、出社時のウォーキングに挑戦しませんか」
週末、子どもとサッカーする習慣が身についてきたのは大きな成果だ。だが週1回の運動ではまだ足りないのも事実。運悪く雨が降って中止となれば、貴重な機会を逃すことになる。これから冬に向かうので、つい外に出るのが億劫になることもあるだろう。やはり平日、少しでも体を動かすようにしてほしい。
朝食は「一汁三菜」がバランス取れて理想的
思わぬ提案に「え、いや、ちょっと待って」とビビり気味のキヨシさん。だが、この壁を乗り越えれば、いいことずくめなのだ。
歩く距離は、最寄り駅のひとつ先の駅。これならさほど負担は大きくない。確かにこれから寒くはなるが、逆に汗だくにならないので不快にならずに済む。当然、多少早起きしなければならない半面、ウォーキングにより運動不足が解消されるだけでなく、駅に着いた頃には多少お腹もすくはずだ。そこで朝食をとればいい。最終的には、出社前に近所を散歩してから家族と一緒に朝食をとるのが理想的だ。
では、駅前でどんな店に入り何を食べればよいか。比較的「お勧め」なのが、牛丼チェーン店の「朝定食」だ。管理栄養士によると、「炭水化物、タンパク質、ビタミン・ミネラル・食物繊維がそろった一汁三菜の食事が最もバランスが取れています」。メニューを見ると、ご飯に納豆、焼き魚、みそ汁、生卵とこうした要素がそろっている。野菜が不足する場合は、小鉢を頼んで補足するとよいそうだ。
メリットの多さを感じたキヨシさん、最後は「まず30分早く起きるところから始めます」と口にして、早速行動に出た。
キヨシさん「じゃあこの場で、スマホの目覚ましの時間を早めます」
この男、本気になれば行動力抜群なのかもしれない。アラームの時刻を10分刻みにいくつも設定していたのが、若干気がかりではあるが...。