パリで発生した同時多発テロを受けて、安倍晋三首相へのバッシングが起きている。その政策のせいで日本が狙われるというのだが、反対意見も次々に出て論議になっている。
「ここに日本国政府及び日本国民を代表し、フランス政府及びフランス国民の皆様に連帯の意を表明します」「この困難な時に、日本はフランスと共にあります」
安倍首相が戦争をしたがっている??
安倍首相は、2015年11月14日にテロが発生した後、オランド仏大統領にあてて、こんなお見舞いメッセージを出した。
ネット上では、共にテロと戦う姿勢を示すのは当然だ、と支持する声は多い。その一方で、日本が有志連合に加わると見られ危険だ、と批判する向きもある。
背景には、安倍首相が戦争をしたがっているという根拠不明な見方があるようだ。集団的自衛権を認め、安保法案まで通したことは、その表れだというのだ。日本人2人が殺された人質事件で、安倍首相がイスラム国を挑発したと非難され、安倍首相のせいで日本が狙われているという見方はなくならない。
今回のテロ事件では当初、パリの寿司店も銃撃されたとツイッターなどで伝えられ、その証拠だとされた。一部の仏メディアで寿司店銃撃が報じられたといい、パリ在住というあるツイッターユーザーは、「なぜ寿司屋(日本料理店)であったのか?日本人は考えるべきだろう」と警告した。
日本の一部テレビ局でも、寿司店が銃撃されたと伝えるところもあった。
しかし、その後の報道では、寿司店は流れ弾が当たってガラスが割れる被害があっただけだとされた。実際に銃撃されたのは、隣接するカフェであることが分かったといい、誤報だったようだ。
とはいえ、ネット上では、引き続き、安倍首相へのバッシングが相次いでいる。
「テロを防ぐ行動の何が悪い?」と疑問も
「日本はIS(イスラム国)の標的にわざわざ自分からお金を払ってなった」
「他国の場合 → テロを許すな! 日本の場合 → 安倍を許すな!」
「テロの標的にならない為の最良の方策は、安倍を早くやめさせることだ」
こんなツイートが次々に書き込まれていた。
ジェンダー論などで知られる上野千鶴子東大名誉教授は、「フランスに非常事態宣言。もしかしたら安倍首相はこれを待っているのじゃないのか?」と疑問を呈した。日本にもテロの恐れがあるとして、緊急事態法が必要だと言い出すのではないかというのだ。上野教授は、「国民を守るためには敵をつくらない、ことがいちばんだ」と訴えていた。
また、マルクス経済学を教える金子勝慶大教授は、「対テロ戦争=国境なき世界戦争の怖さ」だとして、「集団的自衛権の危険性を再認識せよ」と指摘した。日本がフランスと連帯を表明したことに対しては、「できることは何でもする?有志連合の一員として空爆の後方支援でもするんでしょうか?イラク戦争を思い出そう」と疑問を投げかけていた。
もっとも、ネット上では、こうした意見についての反論も次々に出ている。「対テロ戦争と集団自衛権の危険性がどうつながるのですか?」「テロリスト潰すために行動することの何が悪いの?」といったものだ。