「ちょっと咳をしただけで...」「階段を降りていたら急に...」。多くの女性が悩む「尿もれ」は、女性ホルモンが衰えてくる40代からが要注意だ。40代女性の3人に1人は経験しているというデータもある。
でも大丈夫! 尿道周りの「骨盤底筋」を鍛えれば、いつまでも快適に出歩けるようになるのだ。
「ギュッ!」と早く、「ギュ~」とゆっくり締めるを繰り返す
骨盤底筋は、骨盤の底にある筋肉群のことで、自転車に乗るとサドルが当たる部分だ。子宮、膀胱、直腸など骨盤内にある臓器をハンモックのように下から支え、さらに尿道、膣、肛門を締める役割を果たしている。つまり、女性の排泄をコントロールする重要な筋肉なのだ。
しかし、何もしないでいると加齢とともに伸びきったゴムのように弾力を失う。また、女性ホルモンが減少すると、骨盤底筋のもとになるコラーゲンを生成する働きが衰える。特に閉経して女性ホルモンの分泌が激減すると、骨盤底筋はガクッとゆるんでしまう。更年期になると「尿もれ」のトラブルが増えるのはそのためだ。若い人でも、出産によってダメージを受ける人もいる。
そんな人々にお勧めなのが骨盤底筋体操だ。骨盤底筋は目に見えないインナーマッスルなので、まずは場所を感じよう。フェイスタオルを丸めて直径3センチ程度に巻く。それを尿道、膣、肛門に当たるよう縦に椅子の上に置き、股にはさんで座る。尿を我慢する感覚で膣を「ギュッ!」と締めてみよう。同じくおならを我慢する感覚で肛門を「ギュッ!」と締めてみる。骨盤底筋が動くのが感じられるだろうか? 入浴時に人差し指を第2関節まで膣内に入れて、尿道と肛門を締めると、指が締められるのがわかるはずだ。骨盤底筋の動きが一番ダイレクトに感じられる方法だ。
膣と肛門を締める感覚がわかったら、初心者に一番簡単な方法を紹介しよう。
仰向けに寝て、両膝を軽く曲げて肩幅に開く。A:膣と肛門を「ギュッ!」「パッ!」「ギュッ!」「パッ!」とテンポよく締める・ゆるめることを10回繰り返す。B:膣と肛門を「ギュ~」と締めて、そのまま1・2・3...と5つまで数えてから、力を抜いてゆるめることを10回繰り返す。早いAの「ギュッ!」の体操が骨盤底筋の瞬発力を、ゆっくりのBの「ギュ~」の体操が持久力を高めるのだ。一日の目安はAとBをそれぞれ5セットずつほどだが、一度にまとめて行うのではなく、何回かに分けて行うとよい。