東芝、元社長ら5人だけ提訴の「理由」 待ち構えるもう一つの「訴訟」の行方

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事業環境が厳しければ不正は許される?

   しかし、実力以上に利益を積み上げて経営者としての評価を上げ、経団連会長の座を射止めるなどの、個人的な欲求が背景になかったのか。事業環境が厳しければ、不正が許されるのか。こうした疑問を無視するような記述と言える。調査委の報告を受け、東芝は損害額を10憶円超と算出しながら、実際の請求額は「支払い能力なども考慮」して3億円に抑える「温情」まで示した。

   さらに、不正関与の可能性が指摘された「関与者」が他に9人については、「歴代社長からの過大なチャレンジを受け続けたことにより、やむを得ず不適切な会計処理を容認した」「(損失先送りを)主導、決定したと認められる証拠はない」として不問にした。利益水増しがあった期間中に副社長や会長を務めた室町正志・現社長については、言及さえない。東芝は提訴に関する記者会見も開いておらず、マスコミ各社は「情報公開が不十分」などと批判している。

   株主代表訴訟では、今回と同じ内容の訴えはできないものの、訴訟の対象者を広げて提訴することは可能だ。東芝の「甘い」対応を受けて、株主が室町氏ら他の新旧経営陣の責任を法廷で問う可能性は大きい。

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