新生女児に付けられる名前に変化が起こっている。「さくら」「葵」といった和風が多くなり、これまでは影を潜めていた「子」で終わる名前も復活してきた。
今時のお母さんたちは日本人らしく呼びやすい名前を模索している。奇抜な名前を付ける「キラキラネーム」の揺り戻し、という一面もあるらしい。
1位は「さくら」と「莉子」、3位は「葵」と「和奏」
料理レシピの投稿・検索サイト、クックパッドの子会社、クックパッドベビーの「2015年生まれの赤ちゃんの名前ランキング」によると、女の赤ちゃんの名前に大きな変化が起きている。ランキング10位以内の約半数が入れ替わり、1位は「さくら」と「莉子(りこ)」、3位は「葵(あおい)」と「和奏(わかな)」、5位は「咲良(さくら、さら)」で、和風の名前が人気を集めた。それだけではない。同社がこの調査を始めたのは2010年からだが、「子」で終わる名前がベストテンに入ったことすらなかった。今回、「子」で終わる名前「莉子」が1位になった。これは「子」の復活を意味するものなのだろうか。
安田生命保険が大正元年から調査をしている新生児の名前ランキングベストテンを見ると、調査初期からずっと当たり前のように最後が「子」で終わる名前が続いた。1970年は「智子」「陽子」「裕子」などベストテンの7つがそうだ。大きな変化が訪れるのは1980年過ぎからで、83年、84年は2つ、85年は1つ、そして86年に「子」の付く名前はゼロになる。ちょうどバブル経済期の頃だ。
そして90年代から奇抜な名前の「DQNネーム」というのが注目を集めるようになり批判も起きた。現在は外国人風の名前やアニメキャラクターの名前を漢字に当てはめるなどの「キラキラネーム」と呼ばれるものが話題で、週刊誌ネタになっている。近年のベストテン上位には「心愛」「結愛」といった読みにくいものも登場した。
日本ならではの日本人らしい名前を付けたい
「2015年生まれの赤ちゃんの名前ランキング」を作ったクックパッドベビー編集部によると、これまでは他と違った名前を子供に付けて個性を出したい、他と被りたくないという親が多くいて新しい名前が生まれてきた。そのため最後に「子」を付けるのはありふれているし、古臭い、という理由から敬遠されることになった。
それが2015年で変化したのは、
「キラキラネームからの揺り戻しが起きたのだと思います。親たちはキラキラネームに対する批判も知っていますから、誰でも読めるような、誰からでも呼んでもらえるような名前を考えるようになった、という変化です」
と説明した。名前を付ける場合は独りよがりにならないように、親や周りの人に相談したりする例が多いようだ。クックパッドベビーの掲示板では「この名前読めますか?」「どう思いますか?」といった相談が書き込まれるようになっている。また、「古風な名前にしたかった」と発言する人もいる。和風な名前が人気になっているのはグローバルな世界になっている中で、自分は日本人だということを自覚し、日本ならではの名前を付けたいと考えるようになったからだと見ている。
「これからも日本人らしい名前や、そして『子』が付く名前が増え、人気になっていくと思います」
クックパッドベビー編集部はこう話している。