民間家賃の7割補助を4000人が受けている
同機構が全国に保有する職員宿舎207棟のうち、入居者ゼロは2014年度末で13棟ある。このうち、東京都東久留米市の独身寮の家賃は月額1128円。職員が実際に住んでいる宿舎でも、東京都昭島市の独身寮は1984円、同武蔵野市の独身寮も家賃は2244円だ。世帯向けの職員宿舎(60平方メートル前後)の家賃も、ほとんどが数千円台から1万円台という激安物件とされる。
ちなみに、武蔵野市周辺の独身向け(1DK)の家賃は5万円台が主流。築30年ほどのアパートでさえ5万円を超えている。東久留米市や昭島市でも4万円台だ。おそらく、東京都内で1000~2000円台などという家賃の住まいは、どこを探してもないだろう。
これだけ多くの空き部屋があるにもかかわらず、職員宿舎に入居していない職員は家賃の7割を補助してもらって、一戸建て住宅やマンションに住んでいる。家賃補助(住宅手当)の総額は年間13億円(2014年度)。支給を受けている職員は4000人(15年4月時点)で、これは全職員(1万880人、正規職員14年度定員)の36.8%にものぼるのだ。平均支給額などは公表していないという。
会計検査院の指摘によると、3年以上入居者ゼロの職員宿舎の価格は帳簿上で約15億円。ほかにも入居者がほとんどいない職員宿舎が複数あるから、同機構の「ムダ遣い」は計り知れない。
その一方で、日本年金機構には年間2826億円(2014年度予算)もの運営費交付金が投入されている。職員の給与や職員宿舎の運営費や家賃補助も、この交付金で賄われている。その交付金は、国庫財源と年金保険料を財源にしている、つまり国民の税金だ。
年金のムダ遣いについては2007年の「消えた年金問題」のとき、ゴルフ用具やカラオケセットの購入に使われていたことが発覚し、世の批判を浴びたことが記憶に新しいところ。変わらない「お手盛り体質」にインターネットでは、
「関係者の給与を削減しろ! いや賠償しろ!」
「株で運用して溶かしたならまだしょうがないとも思うけど、身内で放漫経営してよってたかって食いつぶしたのは犯罪だろ」
「もう年金いらないから払った分、返してくれよ」
「酷すぎる。こんなデタラメが通用するから不祥事が続くんだ」
といった怒りの声が収まらない。