過剰な清潔志向が子どものアレルギーを増やしていると指摘されているが、スウェーデン・ウプサラ大学の研究チームが生後1年以内に犬や家畜(牛、馬など)と触れ合うと、小児喘息のリスクが減ることを突きとめ、2015年11月2日付の米医師会雑誌「JAMA 小児科学」電子版に発表した。
研究チームは2001~2009年にスウェーデンで生まれた約65万人の子どもの健康データをもとに、喘息の診断記録と犬や農場動物の登録データを照合し、生後1年以内の犬や家畜との接触と小児喘息の発症リスクとの関連を調べた。その結果、犬と接触のあった子どもは、接触のなかった子どもと比べて喘息のリスクが13%減ることがわかった。家畜と接触のあった子どもの方はさらに効果が大きく、52%もリスクが減った。ただ、生後1年以内に犬と接触した子どもは全体の約9%いたが、家畜と接触した子どもは約0.5%と非常に少なかった。
「農家の子どもにアレルギーなし」を裏付けた
小児喘息は、ホコリやダニ、花粉、ペットの毛などがアレルギーの原因になることが多く、すでに発症している場合はアレルギーの原因を遠ざける必要がある。しかし、発症していない場合は、衛生管理を徹底するより、ある程度、チリやホコリと接触させた方がアレルギーの抑制につながるという「衛生仮説」が最近、有力になっている。以前から「農家の子どもは喘息やアトピーになりにくい」といわれてきたが、今回の研究はそれを裏付けた形だ。
研究チームのフォール博士は「小児喘息の予防のうえで、家族と医師が動物と触れ合わせるのが適当かどうかや、その時期について判断材料を提供できた」と語っている。