東京都福生市内のマンションで発覚した死体損壊事件は、顔の皮や肉を剥ぎ取るという異様な犯行が際立っている。どんな目的でしたのか、専門家の間でも議論になっている。
「父が頭から袋をかぶり、血だらけで倒れている」。報道によると、事件が発覚したのは、同じ部屋に住んでいる男性(28)から、2015年11月12日夕にこんな119番通報があったことからだった。
剥ぎ取られた顔の皮などは見つからず
警視庁福生署員も駆け付けたところ、父親と呼んだ別の男性(38)が仰向けに横たわっていた。布団に包まれ、頭には青いポリ袋がかぶせられていた。ポリ袋を取ると、なんと顔の皮膚すべてが刃物のようなもので肉ごと剥ぎ取られており、すでに死亡していた。
しかし、剥ぎ取られた皮はなく、犯行に使われた刃物も見つからなかった。
通報した「男性」によると、「男性」がこの日朝に帰宅した後、直後に帰ってきた同居の男性と少し会話し、その後別々の部屋で寝た。夕方になって起きてみると、同居の男性が倒れていたという。
空白の12時間ほどに何があったのかは分かっていないが、福生署では、通報の男性が何らかの事情を知っているとみて調べている。
亡くなった男性は、性同一性障害で女性からの性別適合手術を受け、戸籍も男性に変更した経緯がある。通報した男性は、女性ホルモンを投与していたといい、2人は、交際していたものの、結婚はできなかった。そこで、養子縁組することにしたという。
1年近く前にこのマンションで一緒に住むようになったといい、最初は、手をつないで仲良くしていた。しかし、夏ごろからケンカが目撃されるようになり、別れ話も出てトラブルになった。事件の1か月ほど前には、亡くなった男性が相手の首を絞めて警察が駆け付ける騒ぎもあったそうだ。
まだ犯人は分かっていないが、なぜ顔の皮を剥ぎ取るまでしたのか。
犯人が皮を食べてしまった可能性も?
日テレ系情報番組「ミヤネ屋」では、11月13日の放送で、この事件を取り上げ、専門家の様々な見方を紹介した。
元検事の住田裕子弁護士は、犯行の動機として、頭に打撃を与えた後に証拠隠滅するためか、歪んだ独占愛から顔の皮を剥ぎ取ったのではないかと指摘した。さらに、猟奇的なカニバリズムのように、皮を食べてしまった可能性があるともした。
また、東洋大学の桐生正幸教授(犯罪心理学)は、被害者と同一化したい、あるいはその真実の顔が見たい、といった渇望があるかもしれないとコメントを寄せていた。
亡くなった男性は、自らのフェイスブックで14年4月に相手のことを「嫁」として2ショット画像付きで紹介し、その後6月に「入籍」したと明かしていた。福生市内のバーで働いていたといい、相手の男性も、東京都内の別の飲食店におり、2人とも夜の仕事をしていた。
相手の男性は、自らのツイッターで、10月に入って店の責任者になったことをうれしそうに報告している。ところが、事件後には、「なんで?なにがおきたの?」と戸惑うようなコメントをフェイスブックで残していた。
警視庁では、亡くなった男性を司法解剖して死因を調べている。