高橋洋一の霞ヶ関ウォッチ 
センス疑う「諮問会議」案 「GDP600兆円」これでは無理

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有効需要の創出が少ない

   今回の短冊の寄せ集めの中にも、小粒だがいいものもある。103万円、130万円の壁の原因となっている税・社会保険、配偶者手当の見直しなどはいい指摘だ。ただし、名目GDP600兆円にする大きな話がない。

   名目GDP600兆円は、中短期の目標であるので、金融政策と財政政策で有効需要のかさ上げで達成すべきと考えるのが、経済学のセオリーだ。

   たしかに、潜在成長率を高めるのは長期的には必要であり、そのために規制緩和は景気にかかわらず必要な政策だ。ただし、中短期で規制緩和の効果は出ない。このため、規制緩和を継続的に行うのは正しいが、それが景気対策になると思わないほうがいい。中短期には、やはり有効需要創出が重要であり、そのために金融緩和と財政支出が必要である。この意味で、政府の対策は、有効需要の創出が少ないので問題である。

   何よりアベノミクスの円安によって外為特会の含み益20兆円、失業率低下によって労働特会の差益5兆円がある。まず、これを国民に還元して、有効需要を財政支出(含む保険料軽減と減税)によって創出すべきである。

   この第一歩がないと、経済はうまく回らない。もちろん、2017年4月からの10%への消費再増税は不可である。こうした方針が政府では議論されていない。ここが新アベノミクスの最大の問題である。


++ 高橋洋一プロフィール
高橋洋一(たかはし よういち) 元内閣参事官、現「政策工房」会長
1955年生まれ。80年に大蔵省に入省、2006年からは内閣参事官も務めた。07年、いわゆる「埋蔵金」を指摘し注目された。08年に退官。10年から嘉悦大学教授。著書に「さらば財務省!」、「恐慌は日本の大チャンス」(いずれも講談社)、「『まやかしの株式上場』で国民を欺く 日本郵政という大罪」(ビジネス社)など。


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