「セックスをすると少女は友人を失い、少年は友人が増える。しかし、ディープキスでは逆の結果に」。
思春期の性交渉が友人関係に及ぼす影響が男女間で大いに異なり、少女にはつらい結果になりやすいことが、米ペンシルベニア州立大社会学・犯罪学のデレク・クリーガー教授らの研究で明らかになり、2015年8月の米社会学会で報告された。
4年間にわたって追跡調査した結果は
研究チームは、アイオワ州とペンシルベニア州の28の農村地域で、11歳から16歳までの男女921人の性体験と交友関係を4年間にわたって追跡調査した。11歳の秋に調査をスタート、まず友人の名前を書いてもらい、翌年の春、翌々年の春と、毎年春ごとに友人との「交友親密度」をチェック。新たな友人ができれば名簿に追加、友人を失えばそれも記録し続けた。その間の性体験を「性交(sex)」と「愛撫(make out)」(ディープキス、ペッティングなど)に分けて調査した。
その結果、「性交」をした後の友人関係をみると、少女では交友親密度が平均で45%下がったが、少年は逆に平均で88%上昇した。一方、「愛撫」をした後の親密度では、少女は25%上昇したが、少年は29%低下した。また、少女では「性交」をすると男女両方の友人を失うが、少年の場合はむしろ男性の友人がぐっと増える傾向がみられた。しかし、少年が「愛撫」だけをした場合は、男性の友人を失うが、女性の友人は失わないことも明らかになった。
「セックス」を賞品にする少年たち。少女たちのトロフィーは?
クリーガー教授はこの結果についてこう分析している。
「意外だったのは、性的デビューの年齢の時に、『性交』と『愛撫』が男女間でダブルスタンダード(二重基準)を示したことです。少年は恋愛よりも性交を目的に少女にアタックを開始し、複数の少女との関係を求めます。少年の友情ネットワークは警察組織のような階層社会で、高価な商品を取ったものが多くの友情を得られます。性交こそがそのトロフィーであり、愛撫には賞品の価値はなく、『ダメな奴』と評価が下がります」
「一方、少女は性交よりも一夫一婦的な恋愛を望み、ロマンチックな愛撫に価値をおきます。そして、少年の性的な誘いをコントロールしようとします。これが思春期の少年と少女の性のドラマの筋書きです。この伝統的な筋書きに反して、気軽に性交したり、複数の少年と付き合ったりする少女は、少女間の友情ネットワークから『軽い子』と非難されるばかりか、少年のネットワークからも『ふしだらな子』の汚名を着せられるのです」
処女喪失と同時に友情も失ってしまう、思春期の少女に対するダブルスタンダードが、のちにその女性の生き方に大きな影響を与える可能性があると、クリーガー教授は指摘している。